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2014年1月

日本経済は果たして、どれだけ成長できるか(3)

日本経済は果たして、どれだけ成長できるか(3):成長のためには本当はなにをすべきか

V. 成長の本当の可能性はどこにどれほどあるか
 1. 人口減少は成長制約か?
  ・経済規模は生産年齢人口と一人当たり生産性の積と定義される。
   したがって経済成長率は人口増加率と生産性の上昇率の和となる。
   そうすると人口増加率が減ればその分、経済成長率も減ことになる。
  ・かつての高度成長時代は人口が1〜2%で伸びている時代だった。
   これからは人口が毎年0.7%ほど減っていく。その分だけ経済成長も鈍化する。
   しかもサービス化の進んだ成熟経済では、規模の経済性の大きな産業の比重は
   高くないので経済成長は鈍化せざるを得ない。
  ・成長に関して、そのような諦観が多くの人びとの視野を制約してはいないか。

2. 高度成長時代の経験から学ぶもの
  ・人口減少は経済成長の制約か?
    ー10%経済成長は人口増加率1〜2%の時代に実現した。
    ー人口増加分を差し引いた経済成長の7〜8%は以下の特殊要因によるところ
     が大きい。
      ー終戦後の何もない時代の大きな潜在需要
      ー後発国・後進国の追いつけ(catch up)願望
      ー規模の経済性の大きい産業への需要が伸びた時代
  ・これらの要因があったにせよ、この時代に人口増加分をはるかに超えて、単なる
   量的拡大だけではない経済を変える大きな質的なイノベーションが推進された
   ことに注目する必要がある。
  ・これからの経済にはそうしたイノベーションは不可能なのか?
   人口減少時代、サービス化時代にもイノベーションはあるはずだ(吉川洋教授
    島田塾講演)

 3. ”失われた20年”に本当に失ったもの
  ・バブル崩壊後の回復過程で、コスト削減、労務費削減が行き過ぎ?
  ・日本だけ賃金が低下、デフレ定着の根因
  ・デフレ心理の定着、デフレ下ではお金だけもって使わないのが合理的
  ・企業内に異常なcashの蓄積
  ・イノベーションマインドの喪失?
  ・制度と既得権の固定化、環境条件に不適合。強力な既得権集団と抵抗勢力
   がイノベーションを阻む。
  ・今日の日本を形づくる構造や制度やしくみは1970年代前半の高度成長時代
   に形成されたものがほとんどで、それ以降は基本的に変化していないもの
   が多い。
  ・例えば、政治、行政、教育、社会保障、医療、農業、エネルギー供給、都市インフラ
   から企業の戦略や意思決定方式、企業間関係にいたるまで、基本は半世紀前。
  ・しかもこの半世紀には、国内では人口構造が逆転して、若い増加の時代から
   高齢化して縮小の時代になった。
  ・世界では情報化とグローバル化が進み、地球環境が厳しくなり、人口爆発と食糧
   不足が進行し、石油など化石エネルギーの価格が半世紀で100倍にも上昇した。
   そうしたメガトレンドの変化が内外で進行したのに日本というシステムはこの
   半世紀、ほとんど変わっていない。それではこの国が活力を失い衰退に向かった
   としても全く不思議ではない。

 4. 人口減少、サービス化時代のイノベーションの可能性
  ・世界には、資源が無く、人口が減少し、しかもサービス化の時代でも、
   飛躍的な発展をとげている例がいくつもある。
   ードバイ:砂漠とわずかな漁業。
        ユーラシア大陸とアフリカの中継点を利用。
        航空と非課税特区で国際交流拠点を形成。
        世界一のインフラとアメニティで世界中から集客
        ドバイ人は人口の1割に過ぎない。
   ーシンガポール
        資源も食糧もない小さな島
        独特な持ち家政策と国民基金蓄積方式
        思い切った税制優遇特区で工場や金融機関誘致
            戦略的人材教育
        連携諸国に戦略的経済特区
        日本より4割も高い一人当たりGDP
  ・人口減少は高齢化:高齢化社会は新しい需要の根源ではないか。
   ー高齢者と若者は真逆:
      高齢者:加齢、身体機能衰え、人生の終末迎える、経験豊富、資金豊富、人脈
      若者: 成長、身体機能発達、人生これから、経験なし、資金なし、人脈なし
   ーその高齢者が安心して、豊かに、楽しく暮らせるためには、社会をトータルに
     変える必要。
    ーそこには膨大な可能性、そして実現する資金。
     無限のイノベーションの必要と可能性
      例:介護器具。車いす? 歯ブラシ、メガネ、エレベーター、車、飛行機
    ー高齢社会が秘める莫大な需要、それを見える化、実現できるか
     新しい発想、夢、目標を描けるか?

・以上は持てる資源と可能性を最大限に生かして発展を実現した例。
・私達は、資源と可能性を充分に活用していない。高齢化というメガトレンドの意味を
 積極的、戦略的にも生かそうとしていない。
・以下、日本の資源を生かすにはどうすればよいか、また高齢化社会の可能性を生かすに
 はどうすればよいか、を考えたい。
・VIは岩盤規制改革による成長可能性の実現、
・そしてVllで未活用資源の潜在的可能性を生かすテーマを考える。

VI. 岩盤既得権・規制分野の成長可能性
 1. 農林水産業
 (1)農業情報の欺瞞:食糧自給率40%、農村の衰退
  ・食糧自給率は穀物自給率、6割は家畜の飼料。
   野菜100%、果物90%、畜産70%(農水省12%)
  ・農業生産・販売額:10兆円、うちコメは2兆円
  ・農村人口、日本1.6%、英国0.8%、アメリカ0.9%
   日本:販売農家 196万戸、うちコメ農家160万戸、うち零細農家130万戸
   コメ専業農家:30万戸、年収1000万円以上、5万戸
   大農家と企業(3000社)で農業生産の6割

 (2)農家は政治の犠牲者
  ・零細農家は政治の犠牲。農家は票田。戦争直後は1500万票。現在200万票。
  ・生産性向上、土地の集約不可。
  ・所得向上のため、1960年から米価政治決定40年間。
   価格維持のため、1970年から減反政策、今でも。昨年の減反手当:6800億円!

 (3)改革の提案:
  ・6次産業(1+2+3)の前に実行すべき根本改革

  ・減反政策の完全撤廃:作付け、販売の自由化
   ・政府が減反政策廃止に向けて動き出した(前述)のは大きな一歩と評価
   その結果→生産増大、米価価格低下、国際競争力↑、

  ・零細農家(高齢、低所得)を産業農業から社会農業に誘導
   ー健康農業、教育農業、環境農業、観光農業
  ・農家の経営革新支援

  ・日本農産品の品質の高さ、世界で唯一、遺伝子組み換えには慎重
   ー健康志向は強み。
  ・農業は国際競争力のある成長産業となる。
   →したがってTPPは不可欠
  ・安倍政権がTPPに参加したのは重要な前進
    ー菅長官の実行力

 (4)林業資源を活用する時代
  ー森は地球上の陸地の3割。 日本は68.5%。
  ー日本は1950年代から植林に注力。戦前・戦争中に乱獲した反省。
   伐採は慎重、植林重視、そのうえ高度成長を経て円の購買力が高まり
   輸入しやすく、大きく加工しやすい輸入材多用の時代がつづいた。
  ー今、国産材の使用は2割のみ。今、本来は収穫の時代
   収穫しないと健全な人工林は育たない、日光、水、土壌など
  ー森林資源、年1億m3で増加。増加分だけで日本の木材需要賄える。
   木材:柱や板は半分、あとは木質バイオマス

  ー林道の整備と高性能製材機の使用が重要:木材の搬出と加工の生産性が
   高まり林業従事者の所得が上昇し、林業人材の雇用が増加する。

  ーバイオマス発電、FIT(固定価格買取り制度)導入で大きな可能性。
   林業と地方再生に有益。

 2. エネルギー
 (1)深刻なエネルギー状況、
   ー原発54基(稼働可能は48基)現在ゼロ稼働。かつては電力の30%、
    経済成長の基盤
   ー現在、化石燃料に依存、エネルギー輸入(3.3兆円)で貿易赤字増大、
    2013年1〜11月赤字は10.3兆円。年間では12兆円に。2012年は6.9兆円。

   ーしかし、原発再開には国民の疑念:  
    原発マフィアによる「安全神話」の欺瞞への不信 
     安心、安全、ところが福島第一事故が欺瞞を暴いた
     ・人災:堤防の低さ、情報共有不在、訓練不在、ロボット開発抑止

(2)「原子力規制委員会」の安全基準
  ・規制委員会 2012年10月、 「改正原子炉規制法」2013.7.8

  ・SA法、、規制一元化、Back Fit(さかのぼって適用)制導入。
   ーSAM:多段階防護
    炉心損傷→格納機能維持→ベント管理放出→放射性物質拡散抑制→使用済み燃料 
    プール管理
   ー自然災害:地震・津波、テロ、事故、高年化、保安運営
    設置変更、工事計画、保安規定→申請→審査→検査

  ・自治体合意問題 原子力規制委員会、電力会社、地元自治体の3すくみ
   ー東京電力 柏崎刈羽原発 再稼働申請 7月に申請、泉田新潟県知事受け付けず。

  その後、汚染水問題で遅れ、9月末ようやく申請。「知事の了解得られるまで排気
    装置運用せず」との約束に規制委田中委員長不快感、知事田中委員長を失格呼ば
    わりの低次元のトラブル。柏崎市長、刈羽村長は申請受理を県に要請。再稼働
    はすべてうまく運んでも2014年春?
   ー原子力委員会、独立性高い3条委員会。専門家。丁寧な説明と情報共有努力必要。

  ・2013.9.15. 関電大飯原発定期検査で運転停止、50基すべて停止
    2013年電力燃料費 1,5兆から3兆円に。経済成長戦略にも影。

      (3)本来の安全対策:
     情報の開示と共有、重大事故対応マニュアル(severe accident
              manual), SA訓練、設備の津波対応(30m、複数電力ライン)
     原子炉の入れ替え(最新式、第3世代)

  (4)再生可能自然エネルギー活用を本格化せよ
    しかし、できるだけ早期に、再生可能エネルギーに代替
     再生可能エネルギー:太陽エネルギーにもとづく。
      化石、原子力の埋蔵量は100年以下(シェールは150年)、太陽150億年
      太陽エネルギーは偏在しない。過去200年の戦争はほとんどエネルギーが原因
     太陽光、風力、地熱、水力(大、小)、バイオマス、潮波力、

    太陽光:耕作放棄地2010km2など空き地活用、原発95基分
       高架式、スノコ型太陽電池パネル
    風力:デンマークは35%、あと10年で50%、日本は海上メガフロート活用を
    地熱:日本は世界の3大火山国、NZは75%、地熱と水力、10年後に90%
       日本地熱発電は九州2基、北海道1基、国立公園法、温泉業法を改正せよ

   ー日本は再生可能エネルギー技術開発のパイオニア
    (石油危機後のsunshine計画)
    2011年固定価格買い取り法(菅政権)は重要な基礎。

    電力、発送電分離、分散供給、スマートグリッド、スマートメーター、
    スマート都市、スマートhomeによる節電、効率使用、

   ー再生可能エネルギー産業は急速な発展、第4次産業革命
    (石炭、石油、情報、に次ぐ)
    成長産業の中核

 (5)再生エネルギー普及の鍵は送電網の整備
   ー「固定価格買い取り制度」2012年7月の発効以来、再生可能エネルギーブーム
   ー太陽光、風力発電は電力消費地から遠隔の過疎地が適している。
   ー問題は発電力をいかに大都市など消費地に運ぶか。
   ーボトルネックは送電網。
     長距離送電網をいかに整備するかが戦略的課題。
   ・山崎養世氏:高速道路をつかって高圧送電網整備、
         自動運転のスマートハイウェイにも推進力。

 3. 医療
 (1)優等生から劣等生に
  医療:かつては優等生、1960年、国民皆保険、皆医療、健康保険証1枚でどこでも。
   国民医療費は最小、平均寿命世界1。
  ー背景に、人口の若さ。
   メガトレンドの変化:高齢化による社会費用↑、技術高度化による高額医療
            低成長による国民担税力の低下
  ー医療問題の深刻化:医療財政の破綻、医療機関の経営(赤字)、
           サービスの悪さ(3時間待って3分医療、たらい回し、医師不在)
  ー政府の対応の誤り:価格、数量規制
   価格(診療報酬制度)→医療産業(創薬など)の衰退、サービスの低下
   数量(ベッド数、医師数、パラメディカルスタッフ)→供給低下

 (2)改革の提案
  ・情報化の強化:
   ーoutcome情報の開示、提供(診療報酬制度の改革)
   ーDRGーPPS: Diagnostic Related Group-Prospective Payment Systemのすすめ
    DPC(日本版包括標準費制度)は費用効率化の機能なし。

  ・自由診療ー混合診療のすすめ
  ・民間保険の開放、導入。
    政府保険主義は国民負担増大に直結し、医療産業の発展を阻害。
  ・ICER(Incremental Cost Effective Ratio)のすすめ、予防・健康医療の進展
  ・医療検査産業の体制整備を、医療法、薬事法あるのに検査法なし。
  ・Drug Lag, Device Lagの解消
  ・快適医療(治療→予防→健康→快適医療)のすすめ

 (3)医療は強力な成長産業へ。
   高齢化、高所得・資産国の日本:
   同時に世界の医療センターとして成長の可能性。

Vll. 未活用資源の潜在的可能性
 1. 健康づくりと健康産業
 (1)高齢化の社会的費用膨張の恐怖
   ー高齢化の進展:現在、65歳以上人口は24%、2050年には40%
    高齢化は高齢者の生活維持とケアに多大な費用がかかる=高齢化の社会的費用
    生活維持:年金、
    介護(要介護者540万人、認知症患者のケアコスト莫大)
    医療(70歳代は10歳代より医療費が10.6倍)

   ー国民負担率=社会保障負担+税金負担
     現在:40%、2050年:73%
   ー国民は耐えられるか?
     73%は現世代で完結する試算。
     現在すでに次世代に借金つけ残し。
     73%を50%に抑えるには次世代にさらに負担を先送り。
     次世代の生存権を脅かす?

 (2)社会保障の抜本的見直し必要
   ・「社会保障制度改革国民会議」報告
      これまでは社会保障は、年金、医療、介護。
      これからは、雇用機会提供、子育て支援、格差対応重要と指摘。
      雇用、子育て支援、国民年金(低・無所得者)都道府県管理と財政移転
       高所得者から応分の負担

    ー既存資源のつけ回しで抜本的改革にも救済にもならない。

    ー年金の持続可能性確保:a)年金支給開始年齢の引き上げ
                b)マクロ調整の確実な実施
    ー医療費と介護費の効率化?
       医療経営改革、介護経営改革も重要
       本丸は健康づくり
    
 (3)健康づくりが鍵
   ー日本の寿命は健康寿命ではない
     寿命 男78歳、女86歳  健康寿命男73歳、女80歳、5〜6年は不健康

     ー健康は食と運動と禁煙
    いかに楽しく健康づくりを進めるか
      食事管理、筋トレ、睡眠
    a)目標達成と自己実現
    b)生活の質向上と充実
    c)仲間、グループ、community、
    d)社会に機会、資源、情報、アクセス、参加
    健康づくり社会

 (4)健康産業のすすめ 
  ・「快適医学」のすすめ
     治療医学→予防医学→健康増進→快適医学
     老若男女に、健常者も障害者にも、快適、生き甲斐、満足を。
     旅行、スポーツ、趣味、付き合い、community、住居、地域など。
     高齢化社会をリードする巨大産業に。

  ・健康サービス産業
    個々人の多種多様な価値観、ライフスタイル、ライフステージ、目標、願望
    をふまえた多彩で適切な健康づくりサービス。
    楽しく食事管理、運動(筋トレ)、好奇心、達成感を満たすサービスの
    無限の可能性。
    医療、介護サービスを超える、何倍、何十倍のcreativeなサービスの可能性。

  ・健康サポート産業
    体力の衰える高齢者をささえるdeviceは車椅子だけではない。
    歯ブラシ、メガネ、エレベーターの効用。
    wearable devices(ICT活用)、移動手段(自動車など)、住居。
    ビルや施設。都市の構想と環境。
    高齢社会を楽しく、快適、充実、効率化する莫大な産業需要。

 2. 女性の能力活用
 (1)女性パワーは最大の未活用資源
   ー世界の識者から繰り返し指摘。
   ー安倍成長戦略の重要な柱:それは正論
     国連演説も女性重視で好評
   ー実態はアラブ諸国並み
   ーラガルド氏(IMF専務理事):
     女性雇用が男性雇用に追いつけば日本のGDPは9%増える(日経13.10.7)

 (2)M字型労働供給の克服
    日本は世界で数少ないM字型女性就労パターン
    M字型:女性がキャリア形成、発展、持続ができない状況。
      子育て期に就労をつづけられる環境条件の整備必要。

 (3)保育施設とサービスの整備・充実
     横浜市は待機児童最多だったが、林市長の卓抜な努力で待機児童ゼロに。
     民間企業の保育サービスを補助金、土地などで支援。サービス倍増。
     子育てアドバイザーのキメ細かいサービス。
    ー民間の多様な保育サービスの支援で保育容量は拡大できる。
     社会福祉法人などの既得権を超える政治の力必要。

 (4)税制と家族政策
   ・税制:日本の税制は世帯単位課税。第二の稼ぎ手の限界税率が高くなる。
     ”130万円の壁” 配偶者所得が130万円を超えると税率が高くなり
     世帯所得はむしろ減少。これは配偶者の就労意欲を減殺。
    ー課税は個人所得課税にすべし。
    ー税制と家族手当(family policy)についてはフランス、スエーデンに
     学ぶ余地大きい。

   ・出産、子育て環境の整備
     産休、育児休暇、男性にも適用。
     子育て支援の家族手当。

 (5)雇用機会と支援、職場、社会、家庭差別の解消
   ・雇用促進プログラム
     職業訓練、雇用紹介サービス。雇用継続の場合も、転職の場合も。
   ・Work Life Balanceと差別の解消:価値観革命
    ー職場の意識改革
    ー家庭と社会の意識改革
    社会福祉給付を雇用促進プログラム(労働参加や職業訓練)に。

 3. 都市と住宅
  (1)日本の都市の遅れ
   ・日本の都市景観とアジア都市景観を見て気がつくこと。
    ー東京の高層ビル、最高は六本木ヒルズと東京都庁庁舎 260m
      上海甫東地区、500m級、森ビルも460m
      KL:ペトロナスTwin Bldg 480m、台北 500m
    ー超高層ビルは周囲に広い生活空間を確保できる。
      NYは古典的な例。
    ー日本は建築技術は世界最高、とりわけ耐震技術。
      航空法やその他規制で都市開発に遅れ。

   ・東京は昼夜間人口の格差が大きすぎる。
     昼間人口は2500〜3000万人。夜間人口は1000万人。
     ”痛”勤負担。一人往復3〜4時間。膨大な時間ロスとコスト。社会コストも。
     パリは夜間人口の方が多い。世界の多く主要都市はその差はせいぜい1.5倍

   ・東京は低層都市。東京区内、2.3階。山手線環内でも3.5階。
     パリは19世紀末(ナポレオン3世時代)に階。エレベーターないビルの限界。
     都市の人口収容力、パリは東京の2.5倍。

   ・東京の長所:
     安全さ:夜間の一人歩き、忘れた財布の返ってくる世界で唯一の都市
         そして唯一の国。
     便利さ:歩いて5分、公共交通に接続。世界で最も発達した公共交通網。
         世界中の料理、文化(音楽、芸能など)が楽しめる。
     正確さ:公共交通の時間正確さ(punctuality)

   ・これだけの良い面があるのに空間を活用していないのは残念。

  (2)快適都市づくり
   ・空間の極大利用
    ー高層建築:500m級を解禁・普及を
       耐震技術でむしろ安全
    ー大深度建築
       地下100級。地震の震動最小(安全)、地下温度安定(エコ)防水技術充分
    ー快適空間の創造。
       緑の生活空間、交通、ライフライン(電線、ガス、水道、通信)は地下

  (3)快適時間の享受と活用
   ・通勤時間の縮小はそのまま快適時間の創造。
    1000万人があらたに一日あたり3〜4時間の自由時間を享受できる社会。
    文化、芸術、演芸、交流、健康づくりなど、生活の質の飛躍的向上。

  (4)特区活用
   ・空間利用、生活アメニティ(医療、教育、居住性その他)のために
    抜本的な規制改革
   ・「国家戦略特区」をどう活用するか

  (5)資産にならない日本の住宅
   ・日本の住宅ストックは5800万戸、世帯数は5000万。空き屋800万戸
   ・日本の住宅は資産にならない。
     “住宅減価表” 木造:25年で無価値に。鉄筋コンクリート:30年。

・原因:流通性の欠如:
     流通度はアメリカの1/7
     住宅評価の未熟、買い手責任(売り手責任制の未整備)

   ・高度成長の負の遺産

    ー高度成長時代:
      地価上昇期待の下、早く建てた方の勝ち。
      土地を担保に住宅金融(借金)、成長とインフレで借金は返済容易。
      競争して住宅建築。scrap and build。流通に興味なし。
      住宅産業は売り込みのために高コスト、土地代が高いので目立たず。
      国の経済政策:住宅投資を景気刺激策に活用。流通整備は二の次。
      消費者:持ち家志向強い。life cycle costは生涯所得の半分にも。
      高度成長とインフレ期待の下ですべて可能。

    ー低成長時代:
      すべてが逆転。所得増加は少ない、インフレよりデフレ。
      住宅購入は巨大なコスト、返済は困難。
      人口減で家が過剰に。一人っ子時代、結婚すると家が2軒あるいは4

  (6)住宅流通と社会資産化
     ・住宅の価値評価、流通の基本、売り手責任:返却可能に=価値評価が基礎
     ・標準化:ログハウス、2 × 7。窓(サッシ)流通があると進展。
     ・生前贈与(近年進展)
     ・Skelton and Infil住宅(福田内閣 200年住宅)
     ・借り家のすすめ
       低成長時代、借り屋が持ち家より安い。life cycle cost
       江戸時代から戦前、持ち家比率は全国1割強、東北2割
       長屋が基本。家具、什器、パーツレンタル。関西で盛ん。
       関東の芯芯方式、関西の内径方式。関西がinter changeable 流通になじむ

  (7)健康・エコ住宅のすすめ
    ・これからの住宅の性能は、エコ(熱効率)と健康(空気の循環と
     管理、健康資材:自然素材)
    ・エコ:旧来の住宅は”風通しが良く、日当りが良い”
        それは隙間風と家具の劣化。
        外断熱、水回りは外回りに。二重ガラスなど
    ・健康ハウス:空気清浄・流量・循環・温度・湿度管理
        科学素材使わない、例:木の城たいせつ社の健康住宅
    ・日本の家屋の半分はエコ・健康ハウスに転換必要。
     →莫大な潜在需要:900兆円の1/3

 4. 情報化とサービス
 (1)情報とコンテンツ産業
  ・ICTの目覚ましい発展
  ・マスメディアからSocialそして個人メディアへ
    ー総合インターネットグループ○「GMO」熊谷正寿社長
      すべての人に、インターネットの最も効率的で使いやすい場の提供。
  ・ゲーム産業
    ーネットゲーム大手○「グリー」田中良和社長:”virtualな価値を生み出し、
     もうひとつの地球をつくる”。
  ・コンテンツ革命
    ーインターネットマーケティング支援○「オプト」鉢嶺登社長
     デバイス革命→メディア革命→マーケティング革命→コンテンツ革命
      音楽、ゲーム、映像、書籍の流通革命
    ー教育 moocの教育革命
     ーカーンアカデミー:1000万人の生徒が、月に1.2億題もの問題を解く。
      ネット教育の時代。

 (2)高齢化社会とICT
  ・ICTは高齢者の生活の質の向上にもっとも役に立つ技術?
   ー加齢現象は不可避、視力、聴力、筋力、平衡感覚、体力などの衰退 
    同時に経験の蓄積、後世代への継承、示唆の大きな可能性
   ーそのうえで、生活の質(安全、便利、充足、楽しみ、感動)を最大化
    高齢者の経験、知識などの活用最大化
   ー身体機能の劣化を補いながら、生活の質を向上させる手段、技術、産業
     例:車椅子? 歯ブラシ、メガネ、エレベーター、車、飛行機
   ーwearable身体機能補強器具、通信機器、装置、住宅装置、移動機器、
    entertainment, 旅行、art、社会的交流、社会貢献、教育。
   ー膨大な潜在的可能性、潜在的需要、開発と利用はまだほんの一部 

 (3)あそび・芸能・芸術
  ・日本にはありとあらゆる遊び、芸能、芸術、文化が存在
   日本伝統芸能、能から落語まで。西欧輸入:クラシック音楽からjazz, popsまで
    東京には交響楽団が9。世界最多。
  ・日本の伝統的あそび心
    例:浮世絵 庶民文化の質の豊かさ
      能、文楽、歌舞伎、狂言、新内、お茶、お花、・・・。
    例:ほとんどの家には床の間、掛け軸、artをたしなむ心
      茶をたててもてなす習慣。
      稽古ごと、”一差し舞って進ぜよう” 能、舞と唱い、長唄、小唄、
   ー戦後の衰退:
      カラオケとゴルフのみ?
    ー家に床の間がなく、壁が少ない:絵を掛ける場所がなく親しむ心が消える
     芸術をたしなみ、楽しむ週間が乏しい。例:シーズンチケット
   ー芸能、芸術の鑑賞とたしなみのすすめ
   ースポーツ
     学校の体育は重要。
     クラブスポーツのすすめ、
      ゴルフクラブは好例。水泳、テニス、等々
      オリンピックもあり、環境整備を
     ー日本は海洋立国、もっとヨットを楽しんでよい

 (4)観光・旅行
  ・日本の豊かな観光資源:自然、四季、北から南のひろがり、歴史、文化、生活慣習
  ・なぜ停滞しているか
    海外からの観光客、1000万人、フランスは8000万人、アメリカ・中国4000万人
    国内観光産業は構造不況業種
  ・日本の観光業が良かった時代、経済復興から高度成長まで
    団体旅行、集客・送客産業、観光ホテルと旅館の規格大量生産方式のモデル
   ー情報化・豊かさの時代に即応せず。
    ”日本人は短期旅行”は迷信。海外では長期滞在、日本の休日は世界一!
   ー日本の観光・旅行停滞の原因
    高度成長時代の旧式モデルに安住して、顧客のwantsとneedsに対応しなかった。
    選択の幅が狭い、面白くない。

   ー面白さの追求と個人の選択
     澤田秀雄:HIS, ハウステンボス
     星野(軽井沢):星野温泉、星野リゾート、星野モデル

 5. 教育:グローバル人材の育成
  ー画一教育の限界と弊害:統一センターテストの悲しい風景
   あらゆる問題に唯一の正解があると信じ込まされて取り組む学生諸君
  ー国際化に遅れる日本の青少年:留学、海外赴任忌避傾向
  ー政府はグローバル人材養成を成長戦略の一環
  ー画一教育は戦後の経済発展の推進要因
   先進研究成果を産業化、製品化するスピード
   早い効率的な学習
  ー先進国となった日本ではむしろ弊害
  ーあらゆる問題に唯一に正解はないのが世界の現実。
   正解は相手を説得し、信頼を得ること。
  ー日本経済は、人口縮小と高齢化で縮小、高齢化の社会的費用↑
   日本企業は市場の縮小と高齢化社会的費用の重圧負担
  ー日本は高コスト国、高品質だが高価格、volume zoneでは売れない
  ー日本の生きる道、solution販売。
   そのためにはパートナーと顧客の信頼を得ることが要
   信頼は、相手の文化、歴史、宗教、価値観の理解。
   liberal arts
   ー戦後の日本の教育はこれが欠如。世界を知るには己を知ることが基礎。それも欠如。
  ー「島田村塾」によるトライアル。

日本経済は果たして、どれだけ成長できるか(2)

日本経済は果たして、どれだけ成長できるか(2):成長戦略はどこまで進んだか

lV. 成長戦略はどこまで進んでいるか
 1. 成長戦略の執行体制
 (1)執行体制は菅官房長官が要
  ・民主党政権の成長戦略と大同小異の総花政策集だが、自民党政権
   は執行体制が異なる
  ・「競争力会議」「規制改革会議」「経済財政諮問会議」など複数のピッチャー
   が球を投げ合う複雑な構造になっており、調整に課題。
  ・しかし菅義偉官房長官が要となって重要課題毎に関係閣僚のtask forceを
   つくるなどして確実に実行。
    ー例:TPP参加問題、農業改革とくに減反政策廃止、そして昨年末には
       懸案だった沖縄普天間基地移転問題など。
    ー霞ヶ関も民主党政権時代とは様変わり
     政権の意向を受けて執行に協力

 (2)実行メニュー
   ー一丁目一番地と言われる規制改革の影がうすい。
   ー岩盤規制を砕くと言いながら、なかなか本格的な規制改革
    が推進されていない。
   ー社会保障改革もめぼしい球は見えない
   ・そうした限定の中でも、いくつかの着実な取り組みが見られる

 2. 「競争力強化法」
  ・成長戦略で公約: 
  ・産業の新陳代謝を進める:供給過剰の解消、未来志向の産業創出
    石油精製、電気、造船、鉄鋼、化学など構造過剰業種の整理統合、再編促進、
    他方で未来先取りの新産業の創出促進して産業構造に進化を促す。

  ・法の要点:
   a)供給過剰の解消:ー赤字部門の分離、事業統合に法人税優遇
              事業再編で新会社設立に登録税軽減  
            ー供給過剰部門業界を政府が調査して公表
   b)新たな事業創出:ー企業特区:法改正をまたずに規制緩和を先取り
            ーグレーゾーン解消制度:法規制適用が不透明な分野での
              事業申請に政府が可否を回答(ノーアクションレター類似)
            ーベンチャーキャピタルVCへ投資企業に法人税優遇
              国立大のVC投資解禁 
   c)政府の役割:  5年間を緊急構造改革期間とし、3年間の実行計画策定

  ・12.10.15 法案国会提出
  ー12.12.4. 参議院通過、成立。

 3. TPPの参加と交渉プロセス
   TPPは成長戦略の要。ひとつは市場の確保、いまひとつはこれまで
  規制や保護を受けて競争の荒波を避けてきた産業群の自己革新。

 (1)TPPの成り立ち
   1990年代半ば、NZは貿易保護主義国。しかし成長のためには強くて大きな
   オーストラリアとの貿易自由化必要と判断。オーストラリアとの合意をバネに
   シンガポールに戦略対話を働きかけ。その構想がTPPの原型。Pacific 5countries
   の意味でP5と呼んだ。実際にはP4(NZ.シンガポール、ブルネイ、チリ)で貿易
   協定。小国同志だから高水準の協定ができた。当初の構想から脱落したのが米国。

   その米国が参入してTPPとなった。安倍首相の政治決断で日本が加わり、TPPは
   世界の自由化の原動力になった。触発されたEUは米国とFTA。TPPはやがて
    NAFTAと融合するだろう。日本の参加は韓国に参加を促し、中国も強い関心を
   持たざるを得なくなった。

(2)日本の参加
 ・3/22日米首脳会談   
   ー水面下調整と首脳会談決着
     外交団:”sensitivity(重要品目)が存在” まで妥協
     昼食会:”聖域なき関税撤廃”を前提としない日本の立場を首相力説
     大統領がそれでは共同声明に書き込もうと応じて決着。
   ー3/22午後、日米首脳会談、
     共同声明:TPP交渉参加に際し「すべての関税撤廃を前提とはしない」
   ーTPP参加に向けた調整:
     ・参加するかしないか判断の時期は、自民党「首相に一任」とりつけ
     ・4月上旬、交渉参加表明 
 ・参加11カ国との参加準備交渉。
     最大のハードルはアメリカ議会の90日ルール 
 ・7月下旬、マレーシアのリゾート地コタキナバルで開催されたTPP交渉に日本は
  はじめて参加した。TPP交渉は20以上の分野ごとに作業部会を置き、各国が議論する。
   日本は正式に参加した7月23日午後にこれまでの交渉内容を網羅した「テキスト」の
  閲覧権を得た。日本からの交渉団は関係省庁から選ばれた約100人の専門家集団。
  この時点では、多くの品目の関税率の削減や撤廃のスケジュールはまだ決まって
  いなかった。「関税交渉はまだ緒についたばかり」(鶴岡主席交渉官)ともいえた。 
 ・交渉分野:物品市場アクセス、原産地規則、貿易円滑化、衛生植物検疫、
    貿易の技術的障碍、貿易救済、政府調達、知的財産、競争政策、越境サービス
    商用関係者の移動、金融サービス、電気通信サービス、電子商取引、投資、 
    環境、労働、制度的・法律的事項、紛争解決、協力、分野横断的事項。以上21。 
 (3)交渉経過
 ・菅長官(島田塾講演)遅れて参加したが、対等以上の交渉ができていると認識。 
 ・10/8 バリ島でのTPP首脳会談
  ー参加12カ国は10月8日をメドにTPP首脳会談を開き、協定案の大筋合意を宣言する
   かまえ。日本は9月中に参加国と関税交渉を一巡させる予定。関税をなくしたことの
   ない品目(農産品など929、参考全品目9018)も撤廃対象になる可能性もある。

 ・10.4 9月下旬に米国と相互に関税撤廃の提案を交わした際に、92%台はじめて提示。
   NZなど複数国から日本の自由化率は低すぎるとの批判

 ・オバマ大統領、首脳会合の議長予定。10.3国内政治問題(財政交渉行き詰まりなど)
  を理由に10.5〜12に予定いていた東南アジア歴訪すべて中止、ホワイトハウス10.3
  夜発表。正念場TPP主役不在。参加国拍子抜け、年内妥結に”暗雲”。
   首脳会合は10.8.声明採択して終了。
  ー「TPPは妥結に向かっている。協定を年内に妥結するため残された困難な課題の
   解決に取り組む」
  ー知的財産権、環境、国有企業の優遇政策などをめぐる米国と新興国の対立は解けず、
   焦点である関税の撤廃・削減の調整も難航。年内妥結の不透明さが増している。

 ・10.11 TPP対策委員会(100人以上議員集合)西川公也
  委員長は12月中旬には交渉妥結に向けた閣僚会合が開かれる見通しをしめしたうえで
  「一ヶ月前には自由化率の数字を出さねばならない」と訴えた。石破氏「泥をかぶって
   くれた。農業はあの人に任せる」

 ・11.20 主席交渉官会合は11.19米国ソルトレークシティで開始。
  日本は自由化率を95%前後まで高める方針で臨む。しかし他の参加国は自由化率を
  100%近くにする方針を示し始めており、日本案は見劣り。 
    参考:95%の意味。
     関税維持450項目:精米、木材、小豆、パイナップルなど
     関税撤廃を検討:ワイン、チョコレート菓子、クッキー、塩、タバコ、など。

   ー来日したオーストラリア、ロブ貿易・投資相は「自由化率が97〜98%以下では
    実質的な貿易構造の変化は起きない。最後の数%のなかに構造改革が必要な肝心
    の品目が残りやすい」と指摘。 

   ーシンガポール、NZは自国の関税撤廃率を100%にすると表明。
   ソルトレークシティの交渉官会合では各国から「日本の重要品目は多すぎる」との
   批判。決着水準は96〜98%ていどか。95%以上に積み上げるのは政府・自民党の
   政治判断が必要。

 ・12.8. シンガポールの閣僚会合。重要分野で合意得られず、2/3程度の分野での
  部分合意になる可能性。年内の全体合意、年内妥結は困難。2014に持ち越し?

   関税:米国など11カ国。関税全面撤廃。日本「農産品の関税死守」
   国有企業:米国・日本:民間企業参入しやすく。
        マレーシア、ベトナムなど。国内が混乱する。
   知的財産: 米国、映画や新薬メーカー権利強化を
        新興国:いまより使いやすくすべし。
   環境:米国・日本・排ガス規制など先進国並み基準を。
      新興国「企業の競争力がそがられる。」

 ・ー米国と新興国が国有企業、知的財産、環境でするどく対立。膠着状態。
  TPP全体を主導すべき米国と日本が関税で対立。高次元の合意を達成する状況
  がみえない。
  ー日米対立:米国:米自動車関税撤廃するが、セーフガードは無制限発動のかまえ。

           日本はSGは安全など以外は1回限り
        日本:聖域5品目は譲れない。関税撤廃率 95%強。
           米国、オーストラリアなど100%撤廃せよ。
  日米のはげしい対立が交渉全体の進展をさまたげている。
  新興国は日米の対立をネタに様子見。例外品目を多く残した協定では実効力がない。
  参考:
  ー12.12.1. ホテルオークラでフロマン代表、カトラー次席代表、菅義偉官房長官、
    林芳正農林水大臣らが会食。自動車と聖域5品目で相互の妥協のてがかり
    つかめず決裂。

 ・2014年2月に閣僚会合予定?
  ーアメリカの問題:オバマ大統領はEPA(貿易促進権限:大統領が議会に賛否
     問える権限)を取得していない。議会では与野党幹部がEPA法案内容で
     合意。3月に法案成立の可能性。議会も本腰か?

  ーオバマ大統領の4月のアジア歴訪が最終のヤマか?

 4. 農業改革
 (1)減反政策廃止へ
 ・10.24 産業競争力会議民間議員 新浪剛史(ローソン最高経営責任者)
  「減反政策を3年後には廃止すべし」と提言。

 ・菅長官とインナー会議。
   戸別所得保障制度見直しチームの幹部会「インナー会議」が農林部会に示す
   減反廃止案検討。安倍政権は7月参院選後の内閣改造や幹部人事は見送ったが
   9月末の実務者級人事で政権の方向を示す減反含む農業改革シフト人事。
   旧商工族起用などに古参の農林族から異論。菅長官が農水省政務官に「戸別補償
   見直しは党の政権公約だ。わかっているのか」と一喝。ダメ押し。情報は党内、
   省内に広がり、官邸の方針に沿って、インナー会議が具体策を詰める役割分担
   明確に。

  農村の急速な疲弊で、農林族も変容。農家平均年齢66歳。稲作農家は70歳超。
   戦後一時600万戸の農家(1000万票)、今や250万戸。意欲ある担い手は農協を
   離れ改革むしろ歓迎。自民党内でもベテランが落選するなど世代交代。西川公也
   TPP対策委員長は09年減反選択制を提起した石破農相批判の急先鋒だった。
   09年衆院選で落選後、地元を歩くと多くの耕作放棄地。農協は「農業を
   どうしたら強くできるか」の視点に欠けていたと反省。議員復帰後、
   農業改革をすすめる側に転じた。

 ・10.25 閣議後の記者会見、林芳正農相「コメの生産調整(減反政策)について、
   (農家へ補助金を支給する)経営所得安定対策の見直しと一体で議論していく」
   を見直しを表明。

 ・11.6. 農林水産省は5年後にコメの生産調整(減反)とやめる方針を自民党農林部会
   などに提示して了承。減反に協力する農家への補助金は段階的になくし
   浮いた財源を中堅・中小農家の支援に向ける構想。当初は補助金を「認定農業者」
   に絞る案があった(「産業競争力会議」など)が、農水省は一律支給にこだわる。
   財務省は全廃主張。

 ・11.26. 「農林水産業・地域の活力創造本部」(本部長=安倍首相)で、林芳正農相
   が減反政策を5年後(2018年度)に廃止する案を提示。本部として了承。政府方針
   として正式に決定。首相「農業の構造改革をすすめ、成長産業とする」
   a)生産目標の配分を5年後に廃止。
     農家が自主的に生産量決める。減反補助金(10aあたり1.5万円)を7500円に
     半減。変動部分は農家の収入減少対策に統合。
   b)米価の急落防止
     コメから飼料米にシフトを促す。転作農家に10aあたり補助を10.5万円に増額。
   c)新たな農家対策(10aあたり年最大5400円)
     農地維持(用水路管理など)3000円、景観・環境保全に2400円など。

 ・12.10. 政府・農林水産業・地域の活力創造本部、農業活性化プラン決定。
  コメの生産調整(減反廃止)、農地の集約・大型化、輸出促進、
  農業全体所得を今後10年で倍増。40代以下の農業者を10年後に40万人へ倍増。
  「農地中間管理機構(農地バンク)」(新設。貸し付けた農家の固定資産税
  減免で誘導。
  ー農地バンク活動費予算 305億円(2013.12.25.)
  ー「農地中間管理機構」高齢でやる気のなくなった農家の土地をやる気のある
   農業者にまとめて貸し出すしくみ。誰に貸し出すか、「産業競争力会議」や
  「規制改革会議」は農業法人、大規模農家、企業など。農水省は村の論理主張。
  「誰が担うか協議し、公募する」妥協案。13.12.29.

 5. 規制改革
 ・9.5.「規制改革会議」、規制改革答申(2014年6月)に向けて検討する項目案提示。
  ー健康・医療:医療機関の統合、再編への環境整備。
  ー農業:農業委員会と農協のあり方の見直し
  ー雇用:裁判で解雇無効とされた労働者、職場復帰のかわりに金銭受給可能に。
  ー創業・IT: 外国人技能実習制度の見直し、消費者金融借り入れ総額規制の見直し。
   など。

 ・9.30. 「規制改革会議」活動再開。焦点は:
     a)医療:混合診療の原則解禁
     b)保育・介護:社会福祉法人と株式会社経営施設と競争条件を対等に
     c)農業:農地の所有規制見直し、企業の農地所有の要件緩和 
    岩盤規制に踏み込む。
 ・10.23. 薬のネット販売、首相アピールより後退。
   最高裁判決13年1月:「厚生労働省のネット販売禁止省令は違法」
    その後、事実上の解禁状態。
   安倍首相:すべての一般医薬品(大衆薬)のネット販売解禁、13年6月に言明。

   その後、厚生労働省は規制強化へ。首相方針に逆行。
    a)ネット業者の規制強化、店舗所有、月40時間対面販売、販売記録義務づけ等。
    b)効き目の強い薬はネット販売禁止。
    c)市販直後の薬は3年間、ネット販売禁止。

 ・規制緩和足踏み(10.24)
   ー企業の農地所有の解禁:農地を持てる農業法人への出資規制緩和を先送り。
   ー解雇ルールの明確化:解雇を認めるルールの指針作成。法律には書き込めず。
   ー大衆薬のネット販売:最低5品目は除外する方向。ほか23品目は解禁3年。
   ータクシー台数の自由化:都市の一部で新規参入・増車を原則3年間禁止。
 ・11.7. 競争力会議の三木谷民間議員はネット販売禁止が立法化されたら国を訴える。
    民間議員とは両立しない、との理由で民間議員辞職表明。政府に困惑と波紋。
    楽天傘下の「ケンコーコム」は行政訴訟のかまえ。

 6. 労働市場と雇用の改革
 ・限定正社員:「規制改革会議」の提案
   厚生労働省は12年9月有識者懇で検討開始。
   地域や職務が限定されても正社員の扱いを受ける雇用。
   これまでの非正社員の地位向上。一方、企業は柔軟性を確保

 ・裁量労働制の緩和方針決定、13.9.27. 厚生労働省。
    成果で労働を評価。労働者が適切な労働時間を自分で設定できる。
    ただし、ホワイトカラーエグゼンプションには反対

 ・労働者派遣制度の見直し:
   13.10.4「規制改革会議」意見書、
    日雇い派遣(30日以内の短期派遣)禁止の見直し。

 ・12.10.17. 政府は有期雇用の期間を最長5年から10年に拡大方針固めた。
    特区については10.18. 日本経済再生本部で決定。

 7. 女性の活用ー子育て支援
  ・横浜の経験
   ー林文子市長
   ーやればできる。目標が大事
   ー民間保育所支援、土地斡旋
   ー保育アドバイザー制度
   ー社会福祉法人の既得権構造によくぞ踏み込み。
   ー大きな可能性はある。
   ー安倍首相注目。

  ・12.9.13. 待機児童22000人、なお高水準(あきらめた人、自治体独自の認証保育
    は含まれない)彼らを入れると50万人という説も。

  ・12.10.3. 政府方針、認可保育所を使いやすく(2015年度から)。
    多様な就労女性に利用可。フルタイム11時間。パートなど短時間利用も。
  ・12.10.5. 子育て支援に3000億円、消費増税5兆円税収の一部あてる。

  ・政府は「指導的な地位にある女性比率を2020年までに30%」の目標。
    10.25人事院報告「各府省の女性活用状況」
      ”目を覆うばかりの惨状」森雅子少子化相
    企業の女性幹部登用実績を企業の承認を得てHPで公表も。

 8. 社会保障改革
 (1)社会保障給付費(税金と保険料)107兆円(2011)
    年金53兆、医療34兆。
    国と地方の負債は1000兆円。次世代から膨大な借金をしている現制度は
    次世代の生存権を脅かし、日本社会が持続できなくなるおそれ。

 (2)「社会保障制度改革国民会議」報告 8/6清家会長が安倍首相に提出
     これまでは年金、医療、介護、
     これからは雇用、子育て支援、低所得者問題と格差対応必要
     国民健保を都道府県に移管、
     高所得者に応分の負担を
     現役世代を家族政策(子育て支援)と就労で支援

 (3)「プログラム法案」
  ・自民党「社会保障制度特命委員会」「プログラム法案」の骨子了承 12.8.19
  ・「プログラム法案」(制度改革の工程表)の骨子、閣議決定 12.8.22
    政府、さらに詳細な法案決定 13.10.16. 国会提出
  ・「社会保障プログラム法」12/5参院で可決、成立。
     医療:70〜74歳、自己負担2割に引き上げ:14年春から
        大企業健保の負担を重く:15年度にも
     国民健康保険を都道府県に移管:17年度までに
        病床機能の再編:17年度までに
     介護:高所得者の自己負担2割に引き上げ:15年度から
        特養ホームの入所を厳しく:15年度から
        要支援者向けサービスを市町村に移管:15年度から
     年金:年金控除の縮小:時期見通せず
        受給開始年齢の引き上げ:時期見通せず

 
 9. 国家戦略特区
  ・11.5「国家戦略特区法案」閣議決定
   ・「国家戦略特別区域諮問会議」
     安倍議長、関係閣僚、竹中平蔵、八田達夫、増田寛也氏ら有識者

   ・特区ごとに「国家戦略特別区域会議」(通称:特区統合推進本部)
     担当大臣(新藤総務相)、地方公共団体の長、総理大臣指定民間事業者

   ・国家戦略特区で想定している改革の種類(ワーキンググループ)

   大都市を対象とする改革案

   都市再生・まちづくり
   ー容積率・用途等土地利用規制の見直し
   ーエリアマネジメントの民間開放(道路の占用基準の緩和)
   ー滞在施設の旅館業法の適用除外:外国人の滞在ニーズへの対応
   教育
   ー公立学校運営の民間開放(公設民営学校の設置)
   雇用
   ー雇用条件の明確化。
   ー有期雇用の特例
   医療
   ー国際医療拠点における外国人医師の診察・外国人看護師の業務解禁。
   ー病床規制の特例による病床の新設・増床の容認
   ー保険外併用療養の拡充
   ー医学部の申請に関する検討

   さらに農村や歴史的価値のある地域などを対象とする改革も想定されて
   いるがそれらは省略。

  ・13.12.7. 国家戦略特区法が参院通過。成立
   ・14.1月から地域選び:首都圏、大阪など近畿圏、沖縄、新潟、愛知・東海圏は?
     菅長官、新藤総務省、甘利経財相が相談。東京、大阪とは猪瀬、橋本氏と了解。
     沖縄は普天間移転問題にかかわって。新潟は新藤氏の提案。柏崎刈羽の再稼働
     の環境づくり?
  ・地域指定と中味づくり. 2013.12.26.
   ー地域指定 2014年春に?
   ー中味づくり、地域指定を受けてから国家戦略特別区域会議で?
   ー地域の提案と国の案との擦り合わせまだ?
     東京の税制優遇は盛り込まれず、不満。

  ・地域指定 2014年3月か?
 10. 法人税下げ
  ・2014年1月、「経済財政諮問会議」(マクロ)と「産業競争力会議」(ミクロ)
   2014年6月予定の「新成長戦略」策定をめざして合同会議。
  ・そのテーマのひとつ。法人税率引き下げ。
    日本の法人実効税率は35.6%。他の主要国は 25〜30%。
   ー安倍首相こだわり。「復興特別法人税」を2013年度末に1年前倒しで廃止。
   ー租税特別措置など意義の低下したものなど廃止して財源つくれるか検討。
次回:(3)成長のためには本当はなにをすべきか

日本経済は果たして、どれだけ成長できるか(1)

以下では、私が2014年1月14日に私が主宰しております経営者の勉強会「島田塾」で私の年頭所感として講演したメモを3回に分けてブログに掲載致します。講演は『日本経済は果たして、どれだけ成長できるか』というタイトルですが、原稿メモが長いので、3回に分けて掲載したいと思います。

 第一回は副題を「アベノミクスの成果と評価」とします。
 第二回は副題を「成長戦略はどこまで進んだか」とします。
 第三回は副題を「成長のためには本当はなにをすべきか」とします。

この連載エッセイが皆様にとって何がしかの御参考になれば幸いです。
なお、第二回に相当する部分は私の英文ブログ『Shimada Talks』にも掲載されていますので、興味のある方は英文エッセイも御覧ください。

「日本経済は果たして、どれだけ成長できるか(1):アベノミクスの成果と評価」

I. はじめに
 ・年頭所感
 ・年初の講演は経済観測

 ・安倍政権の1年
 ・日本の空気は変わった

 ・アベノミクスへの関心と期待
   ーアベノミクスは一定の成果
   ーしかし大きなリスクも

 ・安倍政権のもうひとつのリスクは”ナショナリズム”への傾斜
   ー参院選大勝と衆参両院での多数確保に自信?
   ー特定秘密保護法案は理解できるが強引
   ー靖国参拝は安倍氏の信念、それは理解するとしても、なぜこの時期に。
     国益から見てマイナスばかり
   ー希有のpolitical capitalはもっと重要な目標に効果的に使うべし

 ・経済リスクを最小にする最善策は成長
 ・世間は成長に対する諦観?
 ・政府の成長戦略はどこまで進んだか
 ・日本経済の可能性は
 ・成長への真の課題は何か

ll. アベノミクスの成果とリスク

 1. 第一の矢:金融緩和の効果とリスク
 (1)超金融緩和の意味
    リーマンショック、財政債務↑ 金融戦略で: Base Money↑を
    Base Money: US: 250%, UK:320%, ECB 110%, BoJ 36%
    ・日本だけデフレ克服の意思ないように見える
    ・デフレは貨幣価値高まる→日本円買い→円高→輸出不振→円高不況

  安倍政権の意図:デフレ克服(菅官房長官の島田塾講演)
    ”失われた20年間”を放置していて良いのか、
    これまで金融は日銀、財政は財務省まかせ
    政治家が責任を持って考えてこなかったのではないか
    岩田規久男、本田悦朗、浜田宏一、らの先生方と勉強つづけた。
    黒田東彦氏はADB総裁だったが機会あるごとに参加、

   安倍氏、自民党総裁に選ばれてから、”デフレの克服”を最優先課題として
   そのためには思い切った金融緩和で脱却をはかると主張。
    「デフレは貨幣現象。それなら金融緩和が利くはず」

 (2)黒田声明と市場の反応
   2013.4.3 黒田日銀総裁声明
    2%インフレ目標
    ”異次元的” 金融緩和、ベースマネー2年間で2倍:130兆円→270兆円 
    投機筋が大規模な反応、円売り→円安へ、数ヶ月で20%↓

   ー大規模緩和 2014年も継続。黒田総裁言明 2013.12.21.

 (3)投機筋による翻弄
   思惑投機:格好の投機対象
   11/16、Goldman Sachs Chairperson, James O'Neal, We want Abe  
   ・株価↑ 半年で8割上昇(8000円台から15000円台へ)
     外資(Hedge Fundsなど)様子見 成長見込み
     5/23から暴落、15600円→6月初めには12000円台

   ・為替  中国、ドイツ日本批判、米(Bernanke),英は理解

 (4)その後の株価、為替の動向
  ・5月の暴落の後、参院選に向けて上昇そして下落、秋から年末にかけて上昇
  ・外人買いが主導。6割の影響力?
  ・現在の高い株価の背景:
    ーアメリカの雇用などの好調
    ー金融緩和縮小を急がないとの米金融当局の慎重な姿勢と
     事実上のゼロ金利政策が長期化するとの市場心理。

  ・2014は年初から19000〜2万円という関係者の楽観的な展望もあるが、必ずしも日本経済の実力反映ではなく、大きな下ぶれリスクにも注意必要。

 (5)「第一の矢」(金融)のリスク
  ・菅長官(島田塾講演)”先生方が言われたように経済がうごいていますね”

  ・リスク懸念:赤字財政の日銀によるファイナンス、財政規律放棄?
       アメリカの金融緩和手仕舞い、日本方針変更できず、尻拭い
    ただし、3%以上の成長が実現するならこれらの問題は吸収できる

 2. 第二の矢:積極財政と財政再建の難しさ
 (1)積極財政と緊急経済対策
   ー15ヶ月予算戦略
   ー2013.1.15. 緊急経済対策、総額20兆円、補正予算13.1兆円(2/26成立)

 (2)財政再建は後退?
   ー財政再建計画:2010年策定、
    ”2010年PB(6.7%)を2015年までに半減(3.2%)、2020年までに0または黒字”
    2013年PBは▼33.9兆(6.9%)達成するには25.4兆削減必要、or 2年で17兆円削減
    cf. 小泉政権、2006年から10年で16兆円削減目標

 (3)財政規律回復への疑念
  ・政府の財政再建見通し(2013.8)
    ー「中期財政計画」(2013/8/7:自民・公明政策懇談会で提示)
     財政赤字(PB)を、 2013年34兆円から 2015年17兆円に削減と明記。
     cf. 一般会計ベース: 2013年23兆円を  2015年15兆円に。
    ーただし、消費税を10%にしても2020年に黒字化できるか、道筋不明

 (4)消費税
  ・2014年4月 8%に。そして2015年10月 10%(その後の状況見て決める)
  ・影響:駆け込み需要で2013年成長はカサ上げ(2013年度政府見通し 2.6%、
      導入後反動消費減 1.4%:民間予測は0.8%)
   ー5兆円の経済対策。財政再建に重荷。

  ・軽減税率は消費税率10%時に導入。対象品目は2014年12月までに結論
   自民・公明で調整(与党税制大綱 13.12.12.)

(5)2014年度予算と財政再建の可能性
    ー2014年度 一般会計概算要求、各省庁で揃い、2013.8.30.
     総額 99.2兆円。(2013年度 92.6兆円大幅上回る)
      新設「優先課題推進枠」は目一杯要求。3.5兆円。

  ・2014年度 予算案 95.8兆円。ー2013.12.25の財務省の説明
     2014年度 税収50兆円見込む(6.9兆円増収、ただし、うち4.5兆円は
     消費税↑による)消費税増収分、2014年度 2015年度、各年、4.5兆円増収。
     2014年 国債発行1.6兆円減額
     2013.8月の中期財政計画では国の一般会計のPB、両年 4兆円ずつ改善見込み。
     2014FY予算案ではPB縮小5.2兆円の成果。
      →2013年度:23兆円、2014年度:19兆円、2015年度:15兆円
      これによって2020年度PB均衡(ゼロ)を目指すとしているが、できるか?

   ーたしかに目先の2年間については改善描ける
    しかし中長期の展望は?社会保障コスト↑、経済成長↑?金利↑による
    債務膨張など考慮すると経済の持続可能性はどうなる?の質問。
    ?財政再建が困難な場合、何かのショックでデフォールトを含むハザードに
    見舞われるおそれはないか?経済の長期展望と大きなリスク回避する戦略は?

    ー財務省の説明
     目先の辻褄合わせに終始
     先行きの展望と対策への質問に応えなし
     ひと昔前の大蔵省は中長期についての見識と議論あった。
      今は展望がないのか、説明できないのか、議論封じか

 (6)「第二の矢」のリスク:財政問題→国債暴落の危険
   ・小柴正浩氏(United Managers Japan CEO)
    ー国のデフォールトは世界諸国の経験を展望するとありうるリスク
    ーデフォールト発生時の公的債務/歳入比率
     アルゼンチン(2001)2.6、ロシア(1998)4.9、ブラジル(1983)1.9
     メキシコ(1982)5.0 ○日本はなんと25倍
    ー日銀買い入れ国債の平均残存期間を3年から7年に→金利1%↑=国債価値7%↓
    ー270兆円の資産を支える日銀純資産は3.3兆円。0.2%金利↑で日銀資産消滅。

    ー財政再建の意思・能力なし、と市場が評価すると、国債下落
    ー金利上昇→財政赤字雪だるま↑

 (7)政府の賃上げキャンペーン
   ・成長実現には時間かかる。物価上昇先行すると実質所得低下のおそれ。
    →消費増加→成長促進の条件が失われる。
    → またアベノミクスへの国民に支持↓
   ・8月頃から政府、賃上げを促す法人減税の拡充を検討
    9月26日、政府・与党「企業減税最終案」賃上げ促進減税の条件、
     2013年度にくらべ2%以上賃上げ企業に減税措置。2017年まで。

   ・「政労使会議」9月20日から開始。
     ー経済財政諮問会議民間議員 日本総研 高橋進氏らが提案  
      オランダ政労使「ワッセナー会議」にヒント。
       企業は賃上げ、政府は法人減税、労働者は雇用流動性。
     ー日本でも1973年超インフレ収束のために政労使で賃上げ抑制の経験。
       日本企業は220兆円もの資金を現預金として退蔵している。
       これだけの蓄積の一部でも賃金・所得向上に使えないか。

     ー今回は経済成長の準備条件として生産性に見合った賃上げ呼びかけ
       かつて賃金抑制の「生産性基準」。今は賃上げの「生産性基準」を。

     ー10月頃から経営者から賃上げに前向きな発言出始め。2〜3割か?
    ・賃上げ減税は、結局、企業収益を賃上げにつなげる期待こめて
     復興特別法人税の1年前倒し、ならびに法人減税拡充。
     2014年度税制改正大綱(12月決定)

    ・賃金決定は個別企業の経営判断。組合も賃上げ、ベア要求準備。
     ー春の賃金交渉の結果に注目。
    ・マクロバランスとしては物価上昇・収益向上に見合った賃上げは必要。
     ミクロの経営判断は、デフレマインド、多くのリスクの不透明さなどが障碍。

     ー政労使会議 2013.12.20最終回
       合意文書「定期給与など安定的な所得の上昇による対応を検討」明記。
       しかし経営側は、賃上げ期待の法人減税拡充にも、ベアの言質は与えず。
       中小経営者はアベノミクスが成長をもたらす確信まだもてず、
       賃上げには慎重。
     ー経団連 2013.12.21.「経営労働委員会報告」で、
      ”業績改善企業はベア容認”記述。

 3. 第三の矢:成長戦略と構造改革
 (1)アベノミクス成功の鍵
   ー成長こそすべての鍵
    ー財政再建(税収増)
    ー財政規律(消費税増税)
    ー雇用増加
    ー社会保障改善、sustainability

  (2)海外の批判と提言(Financial Times その他)
   ーアベノミクス(とりわけ第一の矢)の刺激は日本の深刻な停滞を変えるには
    必要だった。
   ーしかしそれはさまざまな大きなリスクにつながるおそれ。
   ー根本問題は、日本が成長するためには消費者の所得への資源配分が少なすぎる。
    言い換えれば、効率の悪い企業部門の投資に過大な資源が注がれている。
    その分消費の原資となる所得配分が過小だ。構造改革の基本は企業と消費者
    との資源配分の大きな転換だ。
   ー企業と消費者の間の不適切な資源配分のうえでの、消費税引き上げや法人税
    下げは、たしかに税率だけ見れば国際的にも妥当のようにみえるが、
    日本経済の資源配分構造をふまえるとすでに歪んでいる構造をさらに
    歪めて望ましい成長を困難にする。

   ー成長のために活用すべき資源は女性の人的能力。
    女性の労働参加率(61%)はアメリカ(62%)欧州(60〜70%)に
    比して低くない。しかしM字型供給でキャリアが中断するので、
    質的に不利な労働を強いられている。
   ー潜在的な大きな消費需要は高齢化社会の健康・生活の質向上需要。

 (3)伏在する大きなリスク:中期と長期
   ・中期:財政・金融リスク:
    ー日銀の財政赤字ファイナンスなど財政規律の劣化で国債価値の暴落
    ーデフォールトにつながる危機。

   ・長期:衰退リスク:
    ー抜本的構造改革なく日本の潜在力を生かせない
    ー競争市場の長所を活用できない、保護・既得権維持・過度な平等。
    ー長期的に衰退。

 ・成長は本来、民間の仕事だが、ひとまず政府の政策パッケージとその進行状況を
  展望しよう。

lll. 成長(再興)戦略の内容と評価
  「日本再興戦略」(2013/6/14閣議決定)

 1. 成長戦略のねらいと目標
   ・今後10年間平均で、名目GDP 3%成長、実質2%程度の成長目指す
      ・新たなフロンティア創出
      ・女性、若者の能力活用
      ・異次元のスピード
      ・国家戦略特区を突破口に
      ・成果目標(KPI)とPDCA

 2. 三つのアクションプラン
 (1)日本産業再興プラン
     1)緊急構造改革プログラム(産業の新陳代謝の促進)
      「産業競争力法案(仮称)」を夏に準備
    2)雇用制度改革・人材力の強化
      ・過度な雇用維持から労働移動支援型(失業なき移動の実現)
    3)科学技術イノベーションの推進
      ・「総合科学技術会議」の司令塔機能強化
    4)世界最高水準のIT社会の実現
      ・公共データの民間開放、革新的電子行政サービス
    5)立地競争力のさらなる強化
      ・国家戦略特区の実現:WGで検討中
    6)中小企業・小規模事業者の革新 
        ・地域のリソースの活用、結集、ブランド化

 (2)戦略市場創造プラン
     ・日本が国際的に強み、グローバルな成長期待できる戦略分野
      ー健康
      ーエネルギー
      ー次世代インフラ
      ー世界から稼げる地域育成

    1)国民の”健康寿命”の延伸
    2)クリーン・経済的なエネルギー需給の実現
    3)安全・便利で経済的な次世代インフラの構築
    4)世界を惹き付ける地域資源で稼ぐ地域社会の実現

 (3)国際展開戦略プラン
    1)戦略的な通商関係の構築と経済連携の推進
      ー貿易FTA比率を現在の19%から2018年までに70%に高める
      ーTPPの取組からRCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTA、さらに
       FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)に拡大発展めざす。

    2)海外市場獲得のための戦略的取り組み
      ーインフラ輸出戦略の迅速実施
      ークールジャパン、コンテンツ等の海外展開など戦略的推進
   ー日本食文化・産酒類の輸出促進

    3)我が国の成長を支える資金・人材等に関する基盤の整備
      ー対内直接投資の活性化(特区活用、政府の外国企業誘致の強化)
    ーグローバル化に対応する人材力の強化(再掲)

 3. 若干の評価
  ・この内容は民主党政権の「日本再生計画」とあまり変わらない
   (大部分共通する)
   ー今井直哉(政務秘書官:経産省出身)梁瀬唯夫(総理大臣秘書官:経産省出身)が指揮をとってまとめているせいか、しばらく同様の内容。
   ー原発でミソつけた経産省は復権に懸命

  ・実行プロセス、ロードマップ(実現の道筋)が見えない
   ー数字の羅列、しかも20〜30年先の目標
   ー根拠、どう実現するかが見えない
  ・安倍らしさは”新陳代謝” ”労働移動促進” ”女性活用”くらい。

  ・成長戦略は本来、民間が主体。
   ー民間が政府に期待し、政府の出方待ちをしているのは異常。
   ー民間の活力はどこへいったのか。
   ー民間生かす規制改革、制度改革、税制改革の踏み込み見えない
     規制改革会議?
   ー根本は構造改革

  ・新成長戦略
   ー2014年6月メドに策定、安倍首相方針 2013.12.26.
   ー雇用、農業、医療 深堀り
   ー規制改革、企業支援策など書き込む

次回:(2)「成長戦略はどこまで進んだか」

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