« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »

2013年3月

「安倍政権とこれからの日本」その5

Vl. 展望と課題

1. 良いシナリオ
1)株高・円安のメリットと波及効果
   ー株高・円高のメリット
    キャピタルゲイン、輸出収益増大、投資(生産投資、不動産投資REIT)
             消費刺激効果も。
    産業界に明るさ
                                      
2)成長展望がメリットを持続・拡大
   ー成長展望がしっかり見えてくれば、海外投資家も投資持続
    株上昇傾向維持、個人投資家増加、
   ー円安傾向持続:輸出企業収益拡大、投資刺激、生産拡大
    インフレ傾向→デフレ脱却→投資・消費マインド向上
                                      
3)参議院選挙の自民党勝利
   ー自民党勝利(自民・公明で過半数占める)すれば、向こう3年間選挙なし。
   ー本格的な改革に取り組める、
     政権の改革戦略には、本来、3〜4年のtime horizon必要
     小泉政権以降、毎年政権交代。戦略、改革、政策は事実上、不可能。
   ー安倍首相の”歴史的改革(憲法、安保、教育など)”が国内と国際社会で
     誤解や不要な反発を招かないよう国家戦略と思想のしっかりした説明が
     必要。
                                      
4)経済成長、財政再建、所得上昇、社会保障充実
   ー経済成長が実現しはじめれば、あるいは「成長戦略」によって人びとが
    その期待を持てれば、消費税引き上げの環境整備、財政再建、所得上昇、
    そして社会保障充実の展望が開ける。
   ー消費税引き上げは短期的には、駆け込み需要を喚起するが、引き上げ後は
    反動減が予想される。経済成長展望はそのマイナスを緩和・吸収する。
   ー財政再建の最大の基盤は経済成長による税収増。円安とインフレの進行そして
    積極財政下で金利の上昇も予期されるが、経済成長が見込めれば、そして実現
    していけば、金利の上昇による債務の膨張も税収増で吸収できる。 
   ー賃金・所得の上昇は経済成長が実現してはじめて可能になる。円安がインフレ
    を促進し、その分、実質賃金は下がるが、経済成長による名目賃金の上昇で
    それを吸収できる。
   ー高齢化にともなって社会保障支出が大きく上昇するが、経済成長による税収増
    と所得上昇によってあるていど吸収できる。ただ、現行の社会保障制度や社会
    の制度・構造のままでは、社会保障費の増大負担は、相当な経済成長でも吸収
    しにくい増加になると見込まれ、抜本的な社会保障の構造、制度改革が急務。
                                      
5)経済成長そして成長戦略が好循環のすべての鍵。
   ー上記のように、経済成長はすべての難問を解決ないし緩和する鍵となる。
   ー逆に、現実的、説得的成長戦略が策定できなければ、また実際に、それが
    経済成長の実現につながらなければ、アベノミクスは成功しない。
   ー「成長戦略」の戦略的重要性は極めて高い。
 
2. 悪いシナリオ
                                      
1)成長展望不透明、株安、円安
   ー成長戦略が説得的・現実的でない場合、外国機関投資家は、俊敏に判断して、
    利益を確定し、世界の次の獲物に資金を移動・投入する可能性が高い。
   ー「成長戦略」は6月に策定とされているが、その骨格や特徴は4月ないし5月には
    見えてくるものと思われる。外国機関投資家はそのあたりで退却か継続かの
    判断をするだろう。
   ー退却の判断がなされた場合、株価は急速に低落し、それは投資、生産、消費
    行動を冷却し、経済低迷・縮小への悪循環につながるおそれが大きい。
   ー一方、金融緩和の期待感で進行した円安は、反転せず持続する可能性が高い。
    それは、原発休止の後遺症としてのエネルギー費用の膨張で、日本経済の
    貿易収支が構造的に赤字となり、それが経常収支にも影響するという構造変化
    の下で、構造的な円安傾向が定着する可能性が高いから。
   ー円安は輸入価格の上昇をつうじて、食料品など生活物資の価格上昇を促進する
    インフレにつながり、実質賃金を低下させる作用がある。経済成長が実現せず、
    名目賃金と所得の向上が実現しないと、実質賃金と所得が現実に低下にする
    おそれ。近年のデフレ経済では、名目賃金は上昇せずむしろ若干低下傾向に
    あったが、デフレの進行で、実質賃金はわずかながら上昇傾向にあった。
    インフレ下の実質賃金の低下は、国民生活をデフレ時代より悪化させるおそれ
    がある。
                                      
2)参院選後の混乱と不安定
   ー効果的で現実的な「成長戦略」が提示されず、経済成長促進への人びと
    の期待が高まらない場合、7月の参議院選挙で、人びとは自民党に
    それほど期待をもたなくなる可能性がある。それだけ民主党や第三極
    の政党に票が流れる可能性がある。民主党は2012年末の衆議院選挙では
    人びとの民主党への幻滅が大きかったため惨敗したが、参議院選挙で
    人びとが自民党に熱い期待を抱かない場合、民主党は旧閣僚級の有力な
    落選議員を多数抱えており、彼らが参院選挙区で健闘すれば、また、第三
    極に票がながれれば、自民・公明の与党は参議院で過半数をとれなくなる
    おそれが少なくない。そうなると、国会は依然として、「ねじれた」
    「決められない」政治を繰り返すことになる。画期的な力強い経済戦略と
    経済政策を矢継ぎ早に繰り出し、実行していかなければならない日本経済
    復活の正念場で、また”決められない政治”が再現すれば、日本はさらなる
    停滞と衰退に陥るおそれが大きい。
                                      
3)債務危機
   ー円安、インフレ、積極財政による財政債務増加の下では、おそらく
    金利上昇が避けられないが、金利上昇は、財政債務を雪だるま式に膨張
    させる危険が大きい。現在、政府は1100兆円規模の総債務を抱えている  
    が1%の金利上昇は債務を11兆円増加させる。3〜4%の上昇は総税収に
    匹敵する。経済成長が進まないと景気維持のためにさらに財政支出を
    迫られるが、それは国債価格低下、利回り=金利の上昇→債務危機の
    悪循環を増幅し、債務危機の深刻化から経済危機への危険を孕む。
   ー債務危機から銀行危機:金利上昇=国債利回り上昇。
    それは国債価格下落→日本の銀行に資産毀損→銀行破綻の危機
    銀行預金の保全の不安(預金保険機構の基金は8兆円ていど。
    大規模な銀行破綻には耐えられない)
    →債務危機から銀行破綻危機を見越して、キャピタルフライト(資本逃避)
    は早期から始まる可能性→円安の促進
    →円安→インフレ→金利上昇・実質金利の低下(キャピタルフライト促進)
     →債務危機深化の悪循環深化
     →実質賃金低下
     →人材フライトも。
 
3. アベノミクスの成否を決める「成長戦略」
                                      
   ー結局、これからの日本経済の方向、”アベノミクス”の成否を決めるのは
    「成長戦略」である。
   ー日本経済の潜在成長力を実現する成長戦略には、(1)金融・財政などの
    マクロ経済政策、(2)経済開放などによる貿易・投資の環境整備、
   (3)競争政策やインフラ整備による産業活力の発揮支援、(4)農業、
    医療、福祉など潜在的な成長産業の可能性を活かす構造改革、など
    いくつかの次元がある。
   ー・金融緩和をきっかけに円安傾向が定着すると思われるが、円安は輸出を
     伸長させ、株価の上昇に資する一方で、エネルギーや食糧の価格の上昇を
     招いて実質賃金を浸食するおそれがある。
    ・積極的な財政政策は景気の回復に必要だが、累積債務を増加させ、
     財政規律を弱め、国債価格の低下そして金利の上昇を招くおそれがある。
    ・経済開放による貿易・投資の環境整備はグローバル競争時代の緊喫の課題だ。
    ・競争政策やインフラの整備による産業活動の支援は重要だが、効果は間接的
     で時間がかかる。
   ー農業、医療、福祉など潜在的な成長産業の可能性を大きく引き出すには、
    これまでに集積・構築された既得権構造に切り込む大胆で周到な構造改革が
    必要だ。これは旧自民党時代の利権構造そのものなので、そうした構造改革
    ができるためには自民党は過去のしがらみに縛られない新しい政党に生まれ
    かわらねばならない。安倍政権にはそれが問われる。それができれば成長戦略
    は本物になるだろう。国民はこの点を注視する必要がある。
 
4. 教育改革こそ基本
                                      
1)不安定な政治は”学習期間”の授業料?
   ー日本の近年の政治は民主主義国としてはいかにも異常である。
    小泉政権以来、安倍、麻生、鳩山、菅、野田、安倍と6年間で平均1年しか持た
    ない内閣が続いた。1年しか持たないトップでは、普通の会社も経営できない。
    誰もが社長の言うことを信じないし、優秀な人材はそんな会社のトップになろう
    とは思わないだろう。いわんや国をおいておやである。1年しか持たない政権では
    腰を落ち着けた政策などできるはずはないし、問題のあったトップも居たが、
    政治家は気の毒である。やがてまともな人は政治家を志望しなくなるだろう。 
    そうした政治の劣化で一番被害を被るのは無論、国民である。
   ー現代の日本の不安定な政治には、一輪車のように不安定な「小選挙区制」や
    衆・参両院があまりにも同等な権能を持っているために、ひとたび”ねじれる”と
    袋小路のようなimpasseに陥って何も決められなくなる「日本型の衆・参両院
    制度」といった制度的、技術的問題もたしかにある。
   ーしかし、日本はまがりなりにも”民主主義国”を標榜しているので、すべてを
    決められる主権をもっているのは選挙民である。いいかえれば残念ながら、
    そのように政治を劣化させているのは主権者たる国民なのである。
   ー日本は第二次大戦後、占領軍の管理の下で、民主主義政治体制を導入した。
    民主主義を多くの先進国のように自らの手で勝ち取ってきていない。その意味
    では、2009年の総選挙は、日本の政治史では、事実上、民主主義制度の下での
    はじめての総選挙であったといえる。その意味では、国民=選挙民には経験も
    本当の覚悟もなかったかもしれない。今は、国民の ”学習期間” と言える
    かもしれない。
   ーしかしいつまでもこのような不安定な政治を続けているわけには行かない。
    いずれ学習の成果を生かして、制度を変えるなり、自らもっと真剣に投票 
    するなりして国家が国民の役に立つように民意によって変えていかねばなら
    ない。問題は、私達国民=選挙民に、そのような選択を自分で考え選びとって
    いく思考態度や思考能力が身についているか、である。私見では、その点に
    重大な問題が潜んでいるように思う。 
   ーたとえば、第三極政党をリードする「維新の会」は「維新八策」を
    かかげるが、これが日本を担う政党の綱領として信頼できるものか
    どうか、選挙民には真剣に検討する精神態度があるだろうか。総論の項目は
    ともかく、各論の内容を投票の前に各論を検討する選挙民はいるだろうか。
    参考:「維新八策」(総論)
     1. 統治機構の作り直し:決定でき責任を負う統治の仕組みへ
     2. 財政・行政・政治改革:スリムで機動的な政府へ
     3. 公務員制度改革:官民を超えて活躍できる政策専門家へ
     4. 教育改革:世界水準の教育復活へ
     5. 社会保障制度改革:真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ
     6. 経済政策・雇用政策・税制:未来への希望の再構築
     7. 外交・防衛:主権・平和・国益を守る万全の備えを
     8. 憲法改正:決定できる統治機構の本格的再構築 
 
2)”考えない教育”は政治を支えない
   ー日本の国民は ”優秀” である。若者の半分近くが受験する「センター
   テスト」を見るがよい。50万人もの同じ年齢の若者が同じ時間に全国一斉
   に同じ試験問題に取り組む。翌日、新聞に問題と模範回答が掲示されるが
   これらの問題は学者の私ですら容易には解けない。それほど難しい問題
   を決められた時間内に解く能力のある若者達は、本来、大変高度な知的
   能力を持った人びとと言えるだろう。
  ーところがその高い知的能力を持っているはずの国民が、いざ選挙となると
   信じ難いほど短絡的なあるいはパブロフ反応的な態度で票を投ずる。ある
   いは、重要な選択の機会であるにもかかわらず全く投票しない。選挙民
   は自民党でも、民主党でも、橋下徹氏でもみのもんた氏でも誰でも良いが、
   誰かの簡単なメッセージを鵜呑みにしてほとんどその意味を理解すること
   なく投票するように見える。また2012年末の総選挙の若年層のように、
   理解しにくければ投票しない。
  ー例えば、民主党が2009年の総選挙のように ”政権交代” ”マニフェスト”
   と叫べば、そのスローガンを鵜呑みにして、それが何を意味しているか、
   それが自分の生活や仕事にどのような意味があるか、など選挙民として
   最低限のことも考えずに投票する。あるいは2012年の総選挙のように
   安倍自民党が ”アベノミクス” ”思い切った金融緩和”と言えば、その
   意味も考えず、疑問も持たずに投票する。知的能力が低いのではなく、
   とんでもなく難しい問題に回答を書ける高度な知力を持っているはず
   の人びとがなぜ政治になるとこうまでパブロフ反応的態度になるのだ
   ろうか。
  ーその鍵は「これまでの日本の教育にある」というのが私見である。上述の
   ように戦後日本の教育は経済の復興と発展を急ぐあまり全員が同じことを
   いち早く覚えるように設計され実行されてきた。やってはいけないことは、
   疑問をもつこと、質問すること、議論をすることだった。なぜならそれでは
   学習に時間がかかり先進国に追いつけないからである。それが日本がまがり
   なりにも先進国となり、時代状況が全く変わった今でも忠実に守られ連綿と
   つづいているのだ。人びとは受験塾や学校で教え込まれたことは懸命に覚え
   回答する。しかし自分では疑問ももたず考えようとはしない。その態度が
   そのまま政治の選択に反映していると見るのは間違いだろうか。
  ー自分で考え、問いかけ、議論する習慣が全くないから、政治の選択という
   重大な場面でも一言のメッセージを鵜呑みにして「パブロフの犬」のように
   条件反射のような投票をしてしまう。選挙民がそうなら政治家は真剣に議論
   しても意味がない。しかも一輪車のように不安定な選挙なら政治家の直面
   するリスクはあまりに高く、政治は次第に劣化せざるを得ない。戦後の
   特殊な時代に励行された画一教育がいまや日本の政治を情けないほど劣化
   させていると考えるのは間違っているだろうか。
  ーまた古川元久氏が「島田村塾」で語ってくださったエピソードも面白い。
   日本の受験では、短時間のうちに良い総合点をとるように訓練されるので、
   まず問題を見て、解くのに時間のかかるような問題は後回しにする。そう
   した受験で成功してきた”最優秀”な青年達が役所に入るので、彼らは政策
   課題を前にして難しいものは後回し、もしくは手をつけない習性が、身に
   付いており、その結果、官僚達は難しい課題は先送りにするため改革は
   実行されないのだという。これも現代日本の教育制度の典型的な弊害
   だろう。
 
3)画一教育が阻む次世代の人材力
  ーいまひとつ、これからの日本を担う産業人の育成にとって今までの日本の
   教育は致命的な欠陥があることを指摘しておきたい。これまでの教育は
   日本がアメリカなど先進国を模範にして「追いつき、追い越せ」と頑張って
   きた時代にはきわめて合目的的に機能した。しかし、アメリカにならぶ生活
   水準を達成し、新興国の台頭や情報化、環境問題の深刻化など新しい時代に
   生きていかねばならない日本を担う産業人の教育としてはこれまでの教育
   はまったくの時代錯誤だ。
  ー今の日本人は、国債認識が著しく希薄化している。アメリカのような巨大な
   国家は人びとがすべてが国内で完結するという観念にとらわれがちだが、日本
   のように国際的依存性の高い国で近年の認識は異様。その根底にも異文化の
   理解と対応を避けてきた教育の問題があるように思う。
  ーその核心は、あらゆる問題には各々唯一の正解があるという教育が、これ
   からの時代には基本的に通用しないということだ。先進国としての日本は
   新興国などのvolume zoneの市場や人びとを相手に、良質でも高価格の
   製品ではなく、彼らの経済活動をささえるsolutionsを提供することが
   重要になる。Solutionsには形がないので、それを提供するには相手との
   信頼関係を築くことが第一だ。そのためには相手の文化、歴史、価値観、
   宗教などの理解が肝要だが、戦後の日本の教育はliberal artsともいうべき
   そうした教育が欠如している。また信頼関係の築き方は人によって違うの
   で、正解は一人一人にあり、それは現場の付き合いや真剣な議論の結果と
   して学ぶしかない。そうした教育は今の日本には欠如している。
                                      
4)新しい教育戦略の樹立を
  ー「唯一の正解はない」という前提で、疑問を持ち、議論をし、現場を体験
   して、ひとりひとりが正解を求めるという教育がこれから求められる
   教育だ。文科省もそうしたことを標榜しているが、それを本気で実行しよう
   とするとどのような問題にぶつかるだろうか。
  ーひとつは、そうした教育のできる人材が居ない、いまひとつは、これまでの
   教育を担って来た人びとを解職せざるをえない。初等教育から高等教育まで
   の教師達、受験産業、文科省をはじめとする行政当局者など、合計すれば
   おそらく150万人はくだらないだろう。彼らはこれまでやってきたことを
   信じて忠実に仕事をしたきた人びとであるが、彼らはこれまでのコンテンツ
   と職域を守ろうとする人びとであるから、いわば既得権者である。しかし
   ことさらそのことによって独占的に利得を得ようという”マフィア”では
   ない。しかしそれだからなおさら彼らを変えることは難しいだろう。
  ーこれは安倍政権の目玉のひとつである「教育再生会議」の最重要課題では
   ないか。安倍政権がこれからの日本を本当に変えていこうと考えるなら、
   迂遠のようだが、この教育改革こそが最も重要な課題に思われる。

「安倍政権とこれからの日本」その5

Vl. 展望と課題

1. 良いシナリオ

1)株高・円安のメリットと波及効果

   ー株高・円高のメリット
    キャピタルゲイン、輸出収益増大、投資(生産投資、不動産投資REIT)
             消費刺激効果も。
    産業界に明るさ
2)成長展望がメリットを持続・拡大
   ー成長展望がしっかり見えてくれば、海外投資家も投資持続
    株上昇傾向維持、個人投資家増加、
   ー円安傾向持続:輸出企業収益拡大、投資刺激、生産拡大
    インフレ傾向→デフレ脱却→投資・消費マインド向上
3)参議院選挙の自民党勝利
   ー自民党勝利(自民・公明で過半数占める)すれば、向こう3年間選挙なし。
   ー本格的な改革に取り組める、
     政権の改革戦略には、本来、3〜4年のtime horizon必要
     小泉政権以降、毎年政権交代。戦略、改革、政策は事実上、不可能。
   ー安倍首相の”歴史的改革(憲法、安保、教育など)”が国内と国際社会で
     誤解や不要な反発を招かないよう国家戦略と思想のしっかりした説明が
     必要。
4)経済成長、財政再建、所得上昇、社会保障充実
   ー経済成長が実現しはじめれば、あるいは「成長戦略」によって人びとが
    その期待を持てれば、消費税引き上げの環境整備、財政再建、所得上昇、
    そして社会保障充実の展望が開ける。
   ー消費税引き上げは短期的には、駆け込み需要を喚起するが、引き上げ後は
    反動減が予想される。経済成長展望はそのマイナスを緩和・吸収する。
   ー財政再建の最大の基盤は経済成長による税収増。円安とインフレの進行そして
    積極財政下で金利の上昇も予期されるが、経済成長が見込めれば、そして実現
    していけば、金利の上昇による債務の膨張も税収増で吸収できる。 
   ー賃金・所得の上昇は経済成長が実現してはじめて可能になる。円安がインフレ
    を促進し、その分、実質賃金は下がるが、経済成長による名目賃金の上昇で
    それを吸収できる。
   ー高齢化にともなって社会保障支出が大きく上昇するが、経済成長による税収増
    と所得上昇によってあるていど吸収できる。ただ、現行の社会保障制度や社会
    の制度・構造のままでは、社会保障費の増大負担は、相当な経済成長でも吸収
    しにくい増加になると見込まれ、抜本的な社会保障の構造、制度改革が急務。
5)経済成長そして成長戦略が好循環のすべての鍵。
   ー上記のように、経済成長はすべての難問を解決ないし緩和する鍵となる。
   ー逆に、現実的、説得的成長戦略が策定できなければ、また実際に、それが
    経済成長の実現につながらなければ、アベノミクスは成功しない。
   ー「成長戦略」の戦略的重要性は極めて高い。
 
2. 悪いシナリオ
1)成長展望不透明、株安、円安
   ー成長戦略が説得的・現実的でない場合、外国機関投資家は、俊敏に判断して、
    利益を確定し、世界の次の獲物に資金を移動・投入する可能性が高い。
   ー「成長戦略」は6月に策定とされているが、その骨格や特徴は4月ないし5月には
    見えてくるものと思われる。外国機関投資家はそのあたりで退却か継続かの
    判断をするだろう。
   ー退却の判断がなされた場合、株価は急速に低落し、それは投資、生産、消費
    行動を冷却し、経済低迷・縮小への悪循環につながるおそれが大きい。
   ー一方、金融緩和の期待感で進行した円安は、反転せず持続する可能性が高い。
    それは、原発休止の後遺症としてのエネルギー費用の膨張で、日本経済の
    貿易収支が構造的に赤字となり、それが経常収支にも影響するという構造変化
    の下で、構造的な円安傾向が定着する可能性が高いから。
   ー円安は輸入価格の上昇をつうじて、食料品など生活物資の価格上昇を促進する
    インフレにつながり、実質賃金を低下させる作用がある。経済成長が実現せず、
    名目賃金と所得の向上が実現しないと、実質賃金と所得が現実に低下にする
    おそれ。近年のデフレ経済では、名目賃金は上昇せずむしろ若干低下傾向に
    あったが、デフレの進行で、実質賃金はわずかながら上昇傾向にあった。
    インフレ下の実質賃金の低下は、国民生活をデフレ時代より悪化させるおそれ
    がある。
2)参院選後の混乱と不安定
   ー効果的で現実的な「成長戦略」が提示されず、経済成長促進への人びと
    の期待が高まらない場合、7月の参議院選挙で、人びとは自民党に
    それほど期待をもたなくなる可能性がある。それだけ民主党や第三極
    の政党に票が流れる可能性がある。民主党は2012年末の衆議院選挙では
    人びとの民主党への幻滅が大きかったため惨敗したが、参議院選挙で
    人びとが自民党に熱い期待を抱かない場合、民主党は旧閣僚級の有力な
    落選議員を多数抱えており、彼らが参院選挙区で健闘すれば、また、第三
    極に票がながれれば、自民・公明の与党は参議院で過半数をとれなくなる
    おそれが少なくない。そうなると、国会は依然として、「ねじれた」
    「決められない」政治を繰り返すことになる。画期的な力強い経済戦略と
    経済政策を矢継ぎ早に繰り出し、実行していかなければならない日本経済
    復活の正念場で、また”決められない政治”が再現すれば、日本はさらなる
    停滞と衰退に陥るおそれが大きい。
3)債務危機
   ー円安、インフレ、積極財政による財政債務増加の下では、おそらく
    金利上昇が避けられないが、金利上昇は、財政債務を雪だるま式に膨張
    させる危険が大きい。現在、政府は1100兆円規模の総債務を抱えている  
    が1%の金利上昇は債務を11兆円増加させる。3〜4%の上昇は総税収に
    匹敵する。経済成長が進まないと景気維持のためにさらに財政支出を
    迫られるが、それは国債価格低下、利回り=金利の上昇→債務危機の
    悪循環を増幅し、債務危機の深刻化から経済危機への危険を孕む。
   ー債務危機から銀行危機:金利上昇=国債利回り上昇。
    それは国債価格下落→日本の銀行に資産毀損→銀行破綻の危機
    銀行預金の保全の不安(預金保険機構の基金は8兆円ていど。
    大規模な銀行破綻には耐えられない)
    →債務危機から銀行破綻危機を見越して、キャピタルフライト(資本逃避)
    は早期から始まる可能性→円安の促進
    →円安→インフレ→金利上昇・実質金利の低下(キャピタルフライト促進)
     →債務危機深化の悪循環深化
     →実質賃金低下
     →人材フライトも。
 
3. アベノミクスの成否を決める「成長戦略」
   ー結局、これからの日本経済の方向、”アベノミクス”の成否を決めるのは
    「成長戦略」である。
   ー日本経済の潜在成長力を実現する成長戦略には、(1)金融・財政などの
    マクロ経済政策、(2)経済開放などによる貿易・投資の環境整備、
   (3)競争政策やインフラ整備による産業活力の発揮支援、(4)農業、
    医療、福祉など潜在的な成長産業の可能性を活かす構造改革、など
    いくつかの次元がある。
   ー・金融緩和をきっかけに円安傾向が定着すると思われるが、円安は輸出を
     伸長させ、株価の上昇に資する一方で、エネルギーや食糧の価格の上昇を
     招いて実質賃金を浸食するおそれがある。
    ・積極的な財政政策は景気の回復に必要だが、累積債務を増加させ、
     財政規律を弱め、国債価格の低下そして金利の上昇を招くおそれがある。
    ・経済開放による貿易・投資の環境整備はグローバル競争時代の緊喫の課題だ。
    ・競争政策やインフラの整備による産業活動の支援は重要だが、効果は間接的
     で時間がかかる。
   ー農業、医療、福祉など潜在的な成長産業の可能性を大きく引き出すには、
    これまでに集積・構築された既得権構造に切り込む大胆で周到な構造改革が
    必要だ。これは旧自民党時代の利権構造そのものなので、そうした構造改革
    ができるためには自民党は過去のしがらみに縛られない新しい政党に生まれ
    かわらねばならない。安倍政権にはそれが問われる。それができれば成長戦略
    は本物になるだろう。国民はこの点を注視する必要がある。
 
4. 教育改革こそ基本
1)不安定な政治は”学習期間”の授業料?
   ー日本の近年の政治は民主主義国としてはいかにも異常である。
    小泉政権以来、安倍、麻生、鳩山、菅、野田、安倍と6年間で平均1年しか持た
    ない内閣が続いた。1年しか持たないトップでは、普通の会社も経営できない。
    誰もが社長の言うことを信じないし、優秀な人材はそんな会社のトップになろう
    とは思わないだろう。いわんや国をおいておやである。1年しか持たない政権では
    腰を落ち着けた政策などできるはずはないし、問題のあったトップも居たが、
    政治家は気の毒である。やがてまともな人は政治家を志望しなくなるだろう。 
    そうした政治の劣化で一番被害を被るのは無論、国民である。
   ー現代の日本の不安定な政治には、一輪車のように不安定な「小選挙区制」や
    衆・参両院があまりにも同等な権能を持っているために、ひとたび”ねじれる”と
    袋小路のようなimpasseに陥って何も決められなくなる「日本型の衆・参両院
    制度」といった制度的、技術的問題もたしかにある。
   ーしかし、日本はまがりなりにも”民主主義国”を標榜しているので、すべてを
    決められる主権をもっているのは選挙民である。いいかえれば残念ながら、
    そのように政治を劣化させているのは主権者たる国民なのである。
   ー日本は第二次大戦後、占領軍の管理の下で、民主主義政治体制を導入した。
    民主主義を多くの先進国のように自らの手で勝ち取ってきていない。その意味
    では、2009年の総選挙は、日本の政治史では、事実上、民主主義制度の下での
    はじめての総選挙であったといえる。その意味では、国民=選挙民には経験も
    本当の覚悟もなかったかもしれない。今は、国民の ”学習期間” と言える
    かもしれない。
   ーしかしいつまでもこのような不安定な政治を続けているわけには行かない。
    いずれ学習の成果を生かして、制度を変えるなり、自らもっと真剣に投票 
    するなりして国家が国民の役に立つように民意によって変えていかねばなら
    ない。問題は、私達国民=選挙民に、そのような選択を自分で考え選びとって
    いく思考態度や思考能力が身についているか、である。私見では、その点に
    重大な問題が潜んでいるように思う。 
   ーたとえば、第三極政党をリードする「維新の会」は「維新八策」を
    かかげるが、これが日本を担う政党の綱領として信頼できるものか
    どうか、選挙民には真剣に検討する精神態度があるだろうか。総論の項目は
    ともかく、各論の内容を投票の前に各論を検討する選挙民はいるだろうか。
    参考:「維新八策」(総論)
     1. 統治機構の作り直し:決定でき責任を負う統治の仕組みへ
     2. 財政・行政・政治改革:スリムで機動的な政府へ
     3. 公務員制度改革:官民を超えて活躍できる政策専門家へ
     4. 教育改革:世界水準の教育復活へ
     5. 社会保障制度改革:真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ
     6. 経済政策・雇用政策・税制:未来への希望の再構築
     7. 外交・防衛:主権・平和・国益を守る万全の備えを
     8. 憲法改正:決定できる統治機構の本格的再構築 
 
2)”考えない教育”は政治を支えない
   ー日本の国民は ”優秀” である。若者の半分近くが受験する「センター
   テスト」を見るがよい。50万人もの同じ年齢の若者が同じ時間に全国一斉
   に同じ試験問題に取り組む。翌日、新聞に問題と模範回答が掲示されるが
   これらの問題は学者の私ですら容易には解けない。それほど難しい問題
   を決められた時間内に解く能力のある若者達は、本来、大変高度な知的
   能力を持った人びとと言えるだろう。
  ーところがその高い知的能力を持っているはずの国民が、いざ選挙となると
   信じ難いほど短絡的なあるいはパブロフ反応的な態度で票を投ずる。ある
   いは、重要な選択の機会であるにもかかわらず全く投票しない。選挙民
   は自民党でも、民主党でも、橋下徹氏でもみのもんた氏でも誰でも良いが、
   誰かの簡単なメッセージを鵜呑みにしてほとんどその意味を理解すること
   なく投票するように見える。また2012年末の総選挙の若年層のように、
   理解しにくければ投票しない。
  ー例えば、民主党が2009年の総選挙のように ”政権交代” ”マニフェスト”
   と叫べば、そのスローガンを鵜呑みにして、それが何を意味しているか、
   それが自分の生活や仕事にどのような意味があるか、など選挙民として
   最低限のことも考えずに投票する。あるいは2012年の総選挙のように
   安倍自民党が ”アベノミクス” ”思い切った金融緩和”と言えば、その
   意味も考えず、疑問も持たずに投票する。知的能力が低いのではなく、
   とんでもなく難しい問題に回答を書ける高度な知力を持っているはず
   の人びとがなぜ政治になるとこうまでパブロフ反応的態度になるのだ
   ろうか。
  ーその鍵は「これまでの日本の教育にある」というのが私見である。上述の
   ように戦後日本の教育は経済の復興と発展を急ぐあまり全員が同じことを
   いち早く覚えるように設計され実行されてきた。やってはいけないことは、
   疑問をもつこと、質問すること、議論をすることだった。なぜならそれでは
   学習に時間がかかり先進国に追いつけないからである。それが日本がまがり
   なりにも先進国となり、時代状況が全く変わった今でも忠実に守られ連綿と
   つづいているのだ。人びとは受験塾や学校で教え込まれたことは懸命に覚え
   回答する。しかし自分では疑問ももたず考えようとはしない。その態度が
   そのまま政治の選択に反映していると見るのは間違いだろうか。
  ー自分で考え、問いかけ、議論する習慣が全くないから、政治の選択という
   重大な場面でも一言のメッセージを鵜呑みにして「パブロフの犬」のように
   条件反射のような投票をしてしまう。選挙民がそうなら政治家は真剣に議論
   しても意味がない。しかも一輪車のように不安定な選挙なら政治家の直面
   するリスクはあまりに高く、政治は次第に劣化せざるを得ない。戦後の
   特殊な時代に励行された画一教育がいまや日本の政治を情けないほど劣化
   させていると考えるのは間違っているだろうか。
  ーまた古川元久氏が「島田村塾」で語ってくださったエピソードも面白い。
   日本の受験では、短時間のうちに良い総合点をとるように訓練されるので、
   まず問題を見て、解くのに時間のかかるような問題は後回しにする。そう
   した受験で成功してきた”最優秀”な青年達が役所に入るので、彼らは政策
   課題を前にして難しいものは後回し、もしくは手をつけない習性が、身に
   付いており、その結果、官僚達は難しい課題は先送りにするため改革は
   実行されないのだという。これも現代日本の教育制度の典型的な弊害
   だろう。
 
3)画一教育が阻む次世代の人材力
  ーいまひとつ、これからの日本を担う産業人の育成にとって今までの日本の
   教育は致命的な欠陥があることを指摘しておきたい。これまでの教育は
   日本がアメリカなど先進国を模範にして「追いつき、追い越せ」と頑張って
   きた時代にはきわめて合目的的に機能した。しかし、アメリカにならぶ生活
   水準を達成し、新興国の台頭や情報化、環境問題の深刻化など新しい時代に
   生きていかねばならない日本を担う産業人の教育としてはこれまでの教育
   はまったくの時代錯誤だ。
  ー今の日本人は、国債認識が著しく希薄化している。アメリカのような巨大な
   国家は人びとがすべてが国内で完結するという観念にとらわれがちだが、日本
   のように国際的依存性の高い国で近年の認識は異様。その根底にも異文化の
   理解と対応を避けてきた教育の問題があるように思う。
  ーその核心は、あらゆる問題には各々唯一の正解があるという教育が、これ
   からの時代には基本的に通用しないということだ。先進国としての日本は
   新興国などのvolume zoneの市場や人びとを相手に、良質でも高価格の
   製品ではなく、彼らの経済活動をささえるsolutionsを提供することが
   重要になる。Solutionsには形がないので、それを提供するには相手との
   信頼関係を築くことが第一だ。そのためには相手の文化、歴史、価値観、
   宗教などの理解が肝要だが、戦後の日本の教育はliberal artsともいうべき
   そうした教育が欠如している。また信頼関係の築き方は人によって違うの
   で、正解は一人一人にあり、それは現場の付き合いや真剣な議論の結果と
   して学ぶしかない。そうした教育は今の日本には欠如している。
4)新しい教育戦略の樹立を
  ー「唯一の正解はない」という前提で、疑問を持ち、議論をし、現場を体験
   して、ひとりひとりが正解を求めるという教育がこれから求められる
   教育だ。文科省もそうしたことを標榜しているが、それを本気で実行しよう
   とするとどのような問題にぶつかるだろうか。
  ーひとつは、そうした教育のできる人材が居ない、いまひとつは、これまでの
   教育を担って来た人びとを解職せざるをえない。初等教育から高等教育まで
   の教師達、受験産業、文科省をはじめとする行政当局者など、合計すれば
   おそらく150万人はくだらないだろう。彼らはこれまでやってきたことを
   信じて忠実に仕事をしたきた人びとであるが、彼らはこれまでのコンテンツ
   と職域を守ろうとする人びとであるから、いわば既得権者である。しかし
   ことさらそのことによって独占的に利得を得ようという”マフィア”では
   ない。しかしそれだからなおさら彼らを変えることは難しいだろう。
  ーこれは安倍政権の目玉のひとつである「教育再生会議」の最重要課題では
   ないか。安倍政権がこれからの日本を本当に変えていこうと考えるなら、

   迂遠のようだが、この教育改革こそが最も重要な課題に思われる。

「安倍政権とこれからの日本」その4

V. 日本の中にある成長フロンティア

1. 国内の成長フロンティア
  ー海外成長フロンティアは重要だが、大きな国内潜在フロンティア
  ーマクロの可能性:インフレ期待、女性労働力の活用、サービス産業
  ー潜在成長力はなぜ発現しないか、デフレマインド、阻害構造
                                      
2. 40年間進化していない日本システム
  ー世界の奇跡と言われた日本システムが進化をとめた
    戦後の疲弊から世界第二の経済実現
    しかも特異な制度、雇用・賃金制度など
  ー内外環境のメガトレンドの変化
    世界:情報化=グローバル化、エネルギーコスト、環境制約
    日本:若い人口構造から少子高齢化
  ー対応しない日本システム
    年金、社会保障、エネルギー、農業、医療、ビジネス、
    なぜ対応できなかった? 
     自民党長期政権下の”既得権の集積(マフィア)”が進化をとめた?
  ー衰退は当然
  ー既得権構造を解体し機会を開放すれば大きく開く成長可能性
                                      
3. エネルギー
1)Impasseに陥った原発問題
    ーエネルギーの安定供給に現状では原発は不可欠
    ー経済効率、経済成長のためにも現状では原発必要
 
2)”安全神話(マフィアの欺瞞)”が諸悪の根源
    ー国民の不信を解けるか
    ー原発マフィアの欺瞞が諸悪の根源
      安全神話:日本の技術は最高、管理は最強
      福島事故で虚構が暴露
                                      
3)抜本的な安全策で原発活用を
    ー人災の謝罪と反省:情報欠如、訓練なし、設備配置の欠陥
    ー情報開示と共有、深刻事故想定訓練、津波対策高台配置、新型炉
     そのうえで再稼働
                                      
4)自然エネルギーの大きな可能性
    ー太陽光発電、すべての空き地使えば原発95基分
    ー風力:沖合メガフロート、cf。デンマーク:35%→50%
    ー地熱:すべての国立公園に地熱発電を、NZ:水力と地熱で今70%→90%
    ー分散型電力供給体制、
    ー構造的な節電戦略
                                      
5)新しいエネルギー戦略は成長の柱
   ー原発依存減らし、自然エネルギー活用、世界の先進モデル
    投資:内外で増加
                                      
4. 農業
1)つくられた農業危機認識(マフィアの欺瞞)
   ー食糧自給率40%の欺瞞:穀物自給率、野菜、果物、畜産の自給率
   ー農村人口不足の欺瞞:日本1.6%、英国0.8%、アメリカ0.9%
                                      
2)成長産業としての農業の大きな可能性
   ー自由化、減反廃止:大規模農家・農企業が発展、価格低下、競争力↑、TPP必要
 
3)高齢零細農家には”社会農業”の選択肢を
   ー健康・福祉農業、教育農業、観光農業、環境農業
 
5. 医療・介護
1)日本医療の見事な歴史と現在の惨状
   ー上述
                                      
2)統制主義医療の患弊(マフィアの既得権) 
   ー上述
                                      
3)近未来のさらなる壊滅的危機
   ー高齢化の進展:65歳以上人口 40%へ。国民負担率 70%へ。
    サービス3割カットで負担率 50%
   ・これまでの施設介護、治療医療は機能不全へ
    community医療、予防医学、健康づくり
 
4)情報化、民営化、健康産業化で成長産業へ 
   ー民間保険活用、自由診療(混合診療)
   ー健康産業づくり
                                      
6. 子育て・教育
1)女性の力を活用しない日本の社会
   ー女性の労働力参加、とりわけhigh skill女性の活用のおくれ
                                      
2)硬直的な子育てインフラと社会通念
   ー児童福祉法(措置主義の伝統)による画一的な公共、社会福祉法人サービス
   ー企業と家庭の古い通念、女性の社会参画のおくれ(職場、家庭)
   ー自由で多様な子育てインフラとサービスを
                                      
3)戦後の発展戦略に貢献した日本型教育モデル
   ー技術導入とキャッチアップ生産促進に貢献した教育
   ー暗記型、均質・画一型、疑問・質問・議論はダメ
 
4)時代おくれの教育と既得権集団
   ー先進国になった今でも、画一、暗記型教育、問題発見、解決、説得できない
   ー教師、受験産業、行政、教育委員会:自覚なき既得権集団 およそ150万人
                                     
5)犠牲になる次世代人材
   ー新たなグローバル化時代、世界にsolutionを売らねばならないこれからの日本
   ー異文化世界で信頼を確保する能力が欠如。
 
   ー疑問、問題発見、現場・実験・議論、説得の教育モデルを
                                      
7. ビジネスモデル
1)閉鎖的な意思決定機構
   ー取締役会閉鎖的:社外取締機能せず
    資本の論理働かず
   ー外の世界(とりわけグローバルな世界)の変化のシグナルが伝わらない
    グローバル化のメリットを活用できない 
     例:携帯電話
   ー優れた技術を活用できない
     例:DRAMメモリー、液晶パネル、DVDプレーヤー、カーナビ、太陽光パネル
       市場の占有率:急低下 80〜90%→5〜10%
                                      
2)資本の論理の機能しない資本市場
   ー不可解な資本政策
   ー情報の不透明、人材の不足
   ー資本の論理が貫徹せず、非効率放置、
     例:金余り企業、ゾンビ企業の存続
   ー潜在成長力以下の資源活用放置
                                      
3)時代おくれの産業構造
   ー供給過剰、過当競争
     高度成長時代以降の進化なし
     次のパラダイムが見えないので、過去にしがみつく
     潰し合い、重複投資
 
8. 既得権から解放できるか
  ー既得権への挑戦を試みた民主党政権
  ー自民党利権体質を克服できるか
  ー既得権構造を解体し、市場機会を開放すれば、日本の潜在成長力が発揮され、大きな成長展望が開ける可能性

「安倍政権とこれからの日本」その3

lV. 鍵握る成長戦略

1. 成長なくして成功なし

   ーすべては成長戦略の成否にかかる
   ー金融緩和による効果の持続
     成長の展望なければ投資家は撤退
   ー財政再建の可能性
     成長すれば財政再建の展望開ける
   ー賃金・所得増は成長が条件
     成長すなわち投資→生産→雇用→賃金・所得↑
   ー成長実現すれば社会保障充実の基盤も得られる
   ー成長展望・成長実現なければすべて実現せず。
  ー参考:
    ・エラリアン・ピムコCEO 2013.1.1.(日経)
          生産能力を中国に移して稼いだ利益を国内還元するモデルは限界
      資本と労働の自由な組み替えで効率をあげて名目成長はかれ。
       例:サービス部門の規制緩和。大きな可能性。
    ・武藤敏郎(大和総研理事長)13.1.4.(日経)
      高齢化比率 2050年には40%。
      社会保障:現行水準なら国民負担率は、現在40%から70%へ。
           50%以上削減すれば、将来40%台に維持可能。
           30%削減なら、2050年代は、55%(50台なかば)可能。
        高齢者、女性の雇用促進必要
       家電や半導体は新興国に追いつかれて競争力喪失
       自動車、機械は維持。部品や素材など中間材強み。
       比較優位の産業のばす成長戦略必要。
    ・林義彦、稲田義久 13.1.21.(日経)
      短期の経済対策は解決にならない。長期の本格的耕造改革こそ。
      危機の本質は労働市場。技術変化、グローバル化、人材育成、活用こそ。
    ・星岳雄(スタンフォード大)
      景気対策だけで日本経済の再生は不可能。根はもっと深い。
      ゾンビ企業温存政策(中小企業金融円滑化法)撤廃。
       非製造業の規制改革
       TPPへの参加、大胆な移民政策など。
       景気対策でなく、財政健全化し、成長期待できる構造改革を約束すべし。  
                                      
2. 成長戦略をめぐる議論
1)政府の成長見通し              
                    実質    名目
     2011年度(実績)       0.3    -1.4
     2012年度(実績見込み)    1.0    0.3 
     2013年度(見通し)      2.5    2.7
     2014年度(大和総研予測)   0.4    1.5
     2014暦年(大和総研予測)   1.6    2.3
 
     2013年度、2014暦年は、消費税導入前の駆け込み需要の嵩挙げ見込む
     2014年度は、10月の消費税導入による消費抑制効果織り込み
    ーその先の見通しはまだ
 
2)民主党成長戦略の蹉跌
   ー成長戦略なしでスタート
   ー菅首相の第三の道の奇論
   ー古川元久経財大臣(野田内閣)の理念(フロンティア追求)
      例: ”国酒PT” グローバル化見据えた産業、企業戦略を
   ー本質に切り込まない部門政策の羅列
     ・省益と議員の我田引水でホッチキス作文:水野氏
       グリーンレボリューションで環境大国
       ライフイノベーションで健康大国
       国際立国
       金融大国
       農業6次産業化で輸出産業へ
       労働:居場所と出番、トランポリン労働市場
   ー結局、何も実現しなかった
                                      
3)自民党産業競争力会議の論点
   ー1/23 甘利経済財政再生相
     a)「産業再興プラン」:
       ー設備・研究開発投資を促す税制の優遇措置を含めた特区創設の検討
       ーエネルギー、環境、医療など成長分野の規制改革
     b)「国際展開戦略」:アジアなどの成長力の取り込みめざす
       ー中小企業の海外展開を後押しする基金創設の検討
       ー海外投資の成果を国内成長にむすびつける投資協定や租税協定の締結
     c)「新ターゲッティングポリシー」:新市場を戦略的に創出・育成
       ー高齢化や原発低減など社会構造変化をふまえ新市場拡大期待分野の育成
       ー新エネルギーシステム、再生医療促進、新素材開発など
    ・竹中平蔵委員の問題提起
       竹中ペーパー(1/23の産業競争力会議)
       個別産業支援でなく「企業・産業に自由を」つまり”規制改革が主役”の流れ。
    ー2/25会議で農業強化策も検討課題に。
   ー競争力会議の民間議員の間に不協和音?(日経 13.3.6.)
     10人は多すぎる? 2/18会議に、民間から2つのペーパー。
     官僚による分断作戦?
                                      
3. 産業政策か市場政策か
1)産業政策(picking the winners)は有効か?
   ーセクター別政策、picking the winners(産業政策)の誘惑
   ー予算獲得、省庁益、族議員益がモメンタム
   ー政府は民間より現場と市場の知恵があるか?
                                      
2)民間活力と民間の知恵を活かす競争政策
   ー成長の知恵と原動力は民間の活力
   ー民間活力の源泉は市場競争
   ー適正な市場競争の条件整備が政府の役割=競争政策
                                      
3)「規制改革会議」に戦略的役割
   ー2/15規制改革会議実質討議開始
    テーマ:
     ・混合診療: 例外的に混合診療認める仕組みの範囲拡大
     ・労働時間規制:事務職や研究職の一部に適用見直し(日本型exempt)
     ・解雇規制: 金銭補償で雇用契約終了可能に
     ・確定拠出年金:企業年金ある会社員、主婦、公務員も加入可能に
 
4)政府の役割は市場・競争環境整備
   ー一般的市場政策と規制緩和に加えて構造改革も必要
   ー既得権が重層的に蓄積し構造化した領域では一般的競争政策や規制緩和は限界
     例:農業、福祉、医療、など
       また社会保障(高齢者層が既得権)、教育(既得権層に既得権の意識なし)
   ー積極的構造改革
     のぞましい姿を想定した構造的改革戦略が求められる
     単なる競争政策、規制緩和では切り込めないおそれ
      エネルギー、農業、福祉、医療、建設、教育など
 
5)市場競争環境の阻害構造を除去できるか
   ー既得権構造に切り込めるか
   ー通常の政治力では極めて困難な課題
     国民のひろい理解と支持必要
     (国民のうちの多くが既得権層であればほとんど不可能)
 
4. 旧自民党の体質を超えられるか
1)旧自民党政権時代の光と影
   ー1946年、1955年体制から43年間1党独裁、
       細川連立、村井社会・自民
       橋本、森、小泉、安倍、麻生
       民主党政権
       安倍自民
   ー日米安保で平和確保
     吉田茂、岸信介首相
   ー傾斜生産
     復興と輸出型経済構築の戦略
     石炭→鉄鋼→造船→機会
     cf. Wassily Leontiefの産業連関表(投入ー産出分析)に先行
   ー政策金融
     戦前の金融統制(各地域銀行、金利統制:リスク隠蔽)
     農協→信用組合・信用銀行→地方銀行→都市銀行→政策銀行
     輸出産業へ戦略的に資金配分、人為的低利
 
   ー技術導入と国産化
     技術導入:通産省、大企業、日科技連、生産性本部
     鉄鋼、電機(NEC、東芝)、自動車(ニッサン、トヨタ)
         例:QCからQCCへ(日科技連)
       日本的労使関係:企業内組合と労使協議制(生産性本部) 
 
2)旧自民党が蓄積した構造障碍
   主要例:
   ー電力:地域独占、包括原価方式:松永安左衛門
     そのうえに強大な利権、既得権構造構築
        →マフィア:利権政治家、電力会社、通産省
     →→自然(太陽)エネルギー活用、競争的分散供給体制を阻害
   ー農業:農村票固定化への政治
       自民党の最大の選挙基盤:農業人口55%の時代、少なくとも1500万票
       零細農確保・固定化戦略:農協で組織化
        →マフィア:自民党農林族、農協、農水省
       所得パリティのため、政治米価1960年から40年、減反政策1970年から
       高齢零細農家の固定化、”平均”低生産性、旧農村構造の崩壊危機感
     →→農業活性化(自由化、大規模専業農家の成長、TPP阻害)
 
   ーインフラ(建設)
      自民党の伝統的選挙基盤(各地での集票、政治資金)
      →自民党建設族議員、建設会社、建設省(委員会)
      莫大な公共工事費、国土整備計画、長期財政計画(建設国債)
      舗装率はすでに90%、地方空港、ダム建設の乗数効果はマイナス、
      ”国土強靭化計画”、緊急経済対策(即効性あり)
     →→経済効率化(東京・大阪など大都市整備は遅れ)、予算配分適正化阻害、
       ”コンクリートから人へ”の挫折
      むしろ復活、財政再建、経済効率化の阻害要因に
 
   ー福祉
     社会福祉法人(全国4万人):強力な選挙母体:森喜朗元首相
     憲法89条、:「国家の支配に属さない団体に公金使えず」
      国家の支配に属する民間団体
     既得権の強力保持、民間参入を阻害
     →マフィア:族議員、社会福祉法人、厚生労働省
     →→子育て、老人施設の民間開放を阻害、子育てインフラの画一化
      子育てと女性を就労を阻害
   ー医療
     1960 国民皆保険、皆医療、保険証1枚でどこでも同じ医療
     医療費比率低く、平均寿命世界1、中進国としては見事
     高齢化、成長低下:医療費膨張(高齢化、医療単価)負担力↓
     医療財政困難。厚労省は統制強化:価格(診療報酬)と数量規制
     マフィア:厚労省、統制による権益確保。すべて公的保険。
     医師会:開業医、既得権確保
     →→医療崩壊へ。病院経営破綻、医療サービス不足、質低下、
       イノベーションの停滞、創薬:世界に遅れ。
 
3)利権とマフィアの構造
   ー鉄の三角形
   ー政(政治)・官(官僚)・業(業界) 
   ー族議員と官庁(業界別)、業界と政治献金、官僚と行政指導・規制 
                                      
4)旧体質を超えられるか?
   ーこの利権体質を超えられるか?
   ーむしろ復活か?

「安倍政権とこれからの日本」その2

lll. ”アベノミクス”

 1. 金融
  1)長期デフレの原因論争
   ーデフレは貨幣現象
      リフレーショニスト:
       岩田規久男
       若田部昌澄
       山本幸三
   ーデフレは複合要因
      吉川洋『デフレーション』
                                      
  2)背景:リーマンショック後の世界の金融戦略
   ーリーマンショック→財政膨張→債務危機
   ー金融依存、ゼロ金利、量的緩和
 
  3)特異な日銀の慎重姿勢
   ー各国、膨大な量的緩和
      その弊害も: 新興国にインフレ、資源価格(食糧も)高騰
   ー日銀の慎重姿勢は特異
      Paul Sheard(Standard & Poor's, chief economist)2012.10月時点まで
       各国のベースマネーの増加率
          US:     250 %
                                  UK:    320 %
                                   ECB:   110 %
                                   BoJ:      36%       
 
     ーデフレと闘う意図なし?と映る、
        円買い→円高
    ー日銀の主張:
      特異な日銀理論(浜田宏一教授『アメリカは日本経済の復活を知っている』白川批判
      ・金融政策でデフレ脱却は困難
      ・構造改革による潜在成長力拡大が必要
      ・バランスシートの拡大に消極的(理由不明)
         当座預金 10年間で4兆円から43兆円へ。
         資産(バランスシート): 約110兆円(20年間で3倍)
      ・2%物価目標の難しさ。
        バブル期の5年間の平均が1.3%(白川総裁)。金融緩和だけでは1%にとどくか。
        成長戦略で1%押し上げてはじめて達成も。3本の矢がすべて揃う必要。
      ・白川総裁の持論:耕造改革、規制改革、成長戦略の着実な実施を。
      ・日銀理論(Pilling, David(FT: 2013.2.21)
         デフレはreal economy現象
         人口↓、労働力参加↓、中国などからの安い輸入が原因
         克服するには:財政緊縮、労働力率↑、生産性↑
         福井総裁は、量的緩和をはじめたが、2001年、2006年、デフレを
         退治する前に公定歩合引き上げたのは誤り。
                                      
  4)”無制限な金融緩和”の呼びかけと海外投資家の反応
   ー日本は潜在成長力を生かしてこなかった
   ー金融政策の転換で成長の可能性
    ・P・クルーグマン教授
      これまで日本の経済・金融政策を辛口で批判してきたが、
      アベノミクスについては現時点(1/15)では完全に肯定できる。
      これまで最も停滞していた国が安倍戦略で見事な復活ができることを
      世界に示すかもしれない。
       一方、安倍氏は経済への関心が乏しいのか、正統派の批判
        (国債大量増発による金利高騰の危険)を無視しているのかも?の皮肉。
    ・Peter Tasker(FT 13.1.13)
               日本は金融緩和による円安と日銀との政策協調で復活するかも。これまでわずか
       の国しか成功しなかった戦略をこんどこそ成功させるかもしれない。
 
   ー株投資でもうけ(日経 2013.3.8.)
    ・2012年11月から2013年2月まで、海外投資家は16週間連続で日本株を買い越し
     累計買越額は4.2兆円。(小泉郵政解散後の16週、5.8兆円に迫る)。
   ー警戒も:
     ・ドイツ連銀バイトマン総裁 ”日銀の独立性を危険にさらす”
     ・メルケル首相:”日本は金融政策で為替円安誘導”(ダボス会議)
     ・ロシア(2月20カ国財務相・中銀総裁会議ホスト国)”通貨戦争”
     ・麻生蔵相の反論:
       金融緩和はデフレ脱却が目的、通貨操作の意図なし。批判は的はずれ。
   ー政府・日銀の金融緩和支持
   ・G7 蔵相・中央銀行会議 2013.2.13.
     共同声明:「財政・金融政策は為替レートを目標にしない」
      ・アベノミクスの積極的金融政策は為替操作にはあたらない。
   ・G20 2013.2.16.
     直前まで、ロシア、中国や新興国を中心に日本を意識した「通貨安競争」
     の批判が噴出していたが、G20の結果は日本批判は回避。
     共同声明:「金融政策は国内物価の安定と景気回復を支援するために実行
      すべし。為替レートを競争力強化の目的には使わない」
   ・バーナンキFRB議長(2.27、米上院銀行委員会証言)
     日本の積極的金融緩和はデフレ脱却の試みで為替操作ではない
   ー心配と懸念
   ・FT(13.1.21)
     円安がつづけば国債発行残高の9%を保有する海外投資家が資金を引き上げ、
     公的債務の規模で突出する日本の借り入れコストが上昇しかねない。(金利上昇?)
   ・カイル・バス氏(アメリカヘッジファンド、ヘイマン・キャピタルmgt)
     2%物価上昇めざすと、長期金利上昇、政府は借金利払い行き詰まり、国債暴落。
     大胆な金融緩和つづけば、株価や地価に資金移動→国債価格下落→金利上昇。
   ・FT(2013.2.1)市場は行き過ぎ?
     円相場はすでに15%下落。修正は進み過ぎ?
     それでも日銀は近いうち大規模に外債購入踏み切らざるを得ない?
      それは事態を大きく悪化。過度の円安進行の危険。
       日本の国債市場と経済に負の連関。
      市場は、大量の国債供給と円安のさらなる進行の脅威を認識していない。
      安倍首相の政策が誤りと判明し、円安と国債利回り上昇の悪循環進むと脅威、危険。
   ・M.Feldstein:(日経:13.2.17)
     ー円安(通貨安)と物価上昇は金利上昇をまねく。
       市場が景気回復、インフレを織り込めば金利↑のおそれ
        (インフレで実質金利↓、景気回復で資金需要↑→金利上昇?)
     ー金利上昇の危険、財政再建困難に。
   ・星岳雄(スタンフォード大)
     ー政権投げ出しで自民党政権凋落させた安倍氏と世界金融危機後に効果的な
      政策を打ち出せずに民主党に政権を明け渡した麻生氏が新政権?ジョークか?
     ー日銀の独立性は大切
       政府は景気対策の観点から期待されるいじょうのインフレ率実現の誘因。
       結局、金融政策だけでは高い成長率を維持することはできず、インフレ率  
       だけが残る。
       政治的な圧力と受けずに長期的な物価安定を追求できる中央銀行に
       金融政策を任せることでこの問題は解決できる。中銀の独立性が失われる
       と、景気対策として財政出動と金融緩和が繰り返される結果、高インフレ
       がつづく可能性。
      ー日銀が長期デフレ期に金融政策を拡張するのに積極的でなかったことは
       確か。デフレの脅威にさらされた欧米中銀が急速にバランスシートを
       拡張してデフレを避けたこととくらべ日銀の消極姿勢はめだつ。
      ーこれだけ政府債務が蓄積している状況で、大型財政出動(緊急対策)
       はリスク。日本がギリシャ以上の債務でも日本国債が安全資産として
       買われているのは、日本政府が最終的には財政再建を進めるだろうとの
       期待。期待が変われば国債暴落も。この状況でより多くの国債引き受けを
       迫るのは財政再建が無理かも、という危惧に。今は、国債金利は低いまま
       だが、財政拡張がつづき、インフレ期待が高まれば、低金利がつづく
       シナリオは考えにくい。
                                      
  5)日銀の政策対応
   ー政府・日銀のアコード(協定)共同声明(1/23)と内容
    ・デフレ脱却に向け政府・日銀の連携を強化
    ・日銀は物価上昇率目標2%の「できるだけ早期の実現」をめざし、金融緩和をつづける。
    ・政府は財政への信認を確保し、日本経済の競争・成長の強化に向けて取り組む
    ・経済財政諮問会議で金融政策と物価情勢を定期的に検証
   ー日銀の金融政策運営のポイント
    ・物価上昇率目標として2%を明記(これまでは1%メドgoal、目標target 明記)
    ・2014年から期限を定めず資産を買い取る(オープンエンド方式)を導入
    ・ゼロ金利と資産買い入れ措置を、必要と判断する間は続ける
    ・14年から毎月長期国債2兆円を含む金融資産13兆円を買い入れる
   ー審議委員の間で意見の違い(日経 13.3.8)
    ・佐藤健彦(モルガンS、MUFG), 木内登英(野村証券金融研究所)
      1%物価を安定するまで金融緩和。2%物価目標に反対。できなけらば信認↓
   ー海外関係者らの批判
   ・買い入れは小幅増。14年の買い入れ資産残高は現状では10兆円増の111兆円に過ぎない。
     無期限緩和とはいうが、国債には満期償還があるので、毎月13兆円は、
     基金規模をちょうど維持するていどにすぎない。
     2014年度、消費増税の影響のぞくと、0.9%?ていど。
     日銀の物価上昇率の予想:0.9%
   ・政府と日銀の共同責任、政府と日銀がデフレ克服に向け一体として取り組む:前例がない。
     FT:極めて日本的。
   ・緩和策(額が少ない=純増がほとんどない。時期が不明確。市場は失望。株高、円安も僅か
 
  6)株価の急騰と為替レートの円安転換
   ー外国機関投資家の戦略投資
   ー株価急騰
   ー金融緩和、円供給増大期待、円売り、ドル・ユーロ買い
                                      
  7)日銀総裁人事
   ー日銀、白川方明総裁、早期辞任表明
   ・2/5午後、白川総裁は安倍総理に会い、直接、辞意表明
    4/8の任期満了をまたずに3/19に山口広秀、西村清彦副総裁とともに辞任する。
    辞任の環境整ったので、自らの意志で辞任決意。政府の圧力なしと。
   ・株価の急騰。
    日銀総裁の早期辞任表明後の4/6、株式相場は日経平均で400円急騰し、
    リーマンショック後の最高値(2010年4/5の11339)を更新する11463を記録。
    新体制でさらに(真に)積極的な金融緩和が実施されるという市場の期待感反映。
   ー新総裁人事案 政府 2/25固めた
   ・総裁:黒田東彦(アジア開銀総裁)
    副総裁:岩田規久男(学習院大学)
        中曽宏(現日銀理事)
   ・黒田氏、岩田氏は強力な金融緩和論者。黒田氏の国際的リーダーシップは定評。
     国債大量購入へ? 市場に期待感、長期金利は一段と低下
    ・3/15には人事案国会提示。
    ・民主党には容認論、「みんな」は大蔵省出身に難色。維新は意見集約まだ。
   ー黒田総裁候補:3/4、岩田、中曽副総裁候補:3/5、衆院議院運営委員会
    で所信聴取。
   ー黒田東彦氏:
     ・2%の物価目標を1日も早く実現することが最重要な使命になる。
     ・日銀の金融資産買い入れは規模、対象など物価目標達成のためには
      まだ不十分。
     ・デフレ脱却のためには「何でもやる姿勢」を打ち出したい。
     ・2%達成のタイムスパン、2年ていどを念頭。
     ・買い入れ長期国債、今の1〜3年から5年以上も視野、
      損失リスクあるETF(上場投資信託)なども考慮
     ・「無期限緩和(国債など期限を切らずに毎月一定額買い入れ:
      日銀は2014から実施方針)」の前倒し実施も。
     一方:
     ・銀行券ルール(日銀保有国債を銀行券発行残高以内に抑制)の見直しも。
     ・日銀の外債購入「為替安定の責任は政府」
     ・財政赤字の補填(財政ファイナンス)は日銀はすべきでない。
    ー岩田規久男氏:
     ・2%目標、2年以内に。達成できなければ”辞職”が最高の責任の取り方
     ・日銀法改正も視野:目標達成に資する
     ・残存期間5年以上の国債購入も、。
    ーなお、アベノミクスの副作用(資産バブルや国債の信用低下など)についての
        議論は国会の聴取では一切出なかった模様。
    野党の反応:民主党の津村啓介衆院議員、黒田氏の所信、問題ない
          岩田氏の日銀法改正発言には民主党など野党の一部反発。
          「みんな」の大勢は賛成の意向。(橋下氏は財務省出身者に難色)
          次期日銀正副総裁候補について国会同意を得られる野党側の
          同意意向がほぼ確認され、黒田、岩田、中曽候補は3/15までに
          国会で同意される見通し。
    ー海外の反応:
     ・黒田新総裁の誕生がほぼ確定的になったことに海外は強い関心。
     ・黒田候補が政府の積極的な金融緩和政策を強く裏打ちする発言を
      とらえて、本当に2%物価上昇を実現するにはおどろくほどラディカルな手段
      が必要。それができるか。インフレを適切に管理できるか。大胆な手段の
      副作用も日本だけでなく近隣や世界にも大きな影響をもたらす可能性
      がある、との分析と警告。たとえば:       
             “Hey,big spender" (Japan, Analysis)   FT  2013.3.4.
             "Japan's Monetary Upheaval Arrives(Editorial)"    FT   2013.3.4.
             "The risky task of relaunching Japan"  FT  2013.3.6
      ・インフレ期待を醸成することは金融政策でできるかもしれないが、
       長期デフレ下で染み付いたデフレ心理を転換するには以下のような
        大胆な手段(radical measures)が必要となるだろう。
                    ex: open-ended purchases of foreign currencies
                         monetization of even larger fiscal deficits
                         direct purchase of risky domestic credits
            (これらのうち1と2は黒田氏は否定している)
      ・インフレ期待もしくはインフレは、金利が安定していれば実質金利を
       マイナスにする。それが消費や投資を刺激する効果はあり得る。
       それは日本経済拡張につながる。一方、インフレは金利上昇
      (とくに長期金利)を誘因。インフレによる実質負債削減効果を相殺
       するおそれ。
      ・インフレ期待が昂進して、実質金利もマイナスだと、円からの逃避
       が外国人だけでなく日本人にも波及。円レート下落→輸出増加→
       近隣窮乏化。世界的な通貨引き下げ競争のおそれ。
      ・円逃避を抑制するために日本のような大きな経済の政府が市場介入で
       為替操作を試みるとこれは債務危機を抱える世界諸国に波及し世界経済
      を不安定化のおそれ。
     ・日本政府と日銀が明確な行動をとったことは評価できる。そうしなければ
      日本経済は早晩、衰退してゆく可能性大。しかし、この時点でとられる
      思い切った行動は、内外に多くの副作用、逆作用をもたらすおそれ。
      きわめて ”risky" といわざるを得ない。   
                                       
 2. 財政
  1)積極財政路線
   ー第二の矢:政府による需要創出機動的に
 
  2)緊急経済対策
   ー緊急経済対策(2012年度補正予算)1/15 閣議決定
     事業規模:20兆円超。
      うち国の補正予算 13.1兆円。
      ・復興・防災対策      3.7兆円
      ・暮らしの安心・地域活性化 1.9兆円
      ・成長による富の創出    3.0兆円
        官民ファンドで海外展開、科学技術、新事業支援
        官民で外債購入も、円高対策にも
      ・地方向けの交付金     1.4兆円 など
   ・13.1兆円の大型(麻生政権の14兆につぐ)
   ・15ヶ月予算の考え方(シームレス)
   ・2月26日、参院1票差で可決 117vs116
   ・財政債務は拡大
    政府は経済財政諮問会議2/28にFY2013の赤字が6.9%になるとの推計提出
     PB赤字 33.9兆円(6.9%)昨年8月推計は25.4兆円(5.2%)
     主因:緊急財政対策2012FY補正予算(10兆円規模)うちFY2013には6兆円支出見込む
 
  3)財政再建は後退?
   ー財政再建目標(2010年6.7%を2015に半減3.2%に。2020には黒字)
    安倍首相も国債公約。2年間(2013、2014)で17兆円収支改善必要。
     2006年骨太方針では5年間で16.5兆円より大幅。桁違いに厳しい課題。
    ・民間議員:財政健全化目標達成不可欠。社会保障部門が歳出削減の本丸。
    ・デフレ脱却に向けて景気刺激やTPP対応の農業支援策にさらなる財政支出?
     他方、増税、歳出効率化は押し下げ要因。難しいみちのり。
 
   ・成長が進めば吸収も可能
   ・成長が見込めず、さらなる財政出動依存になると悪循環の危険
 
  4)2013年度予算
   ー歳出:政策経費(除く国債元利払)合計 70.4兆円
    (民主党歳出上限71兆枠上回る)国債元利払いは22.2兆円
    新規国債発行:42.8兆円
    税収見込み: 43.1兆円
     4年ぶり税収と国債発行額の逆転現象を解消
   ー財政規律をアピール
   ー予算の特徴(The Japan Times 13.1.31)
    ・財政規律堅持(国債を税収以下に):バラマキ批判を反批判
    ・公共工事 5.29兆円(2012当初予算より0.7兆円増)
      農地改良事業予算増(民主党に自民党の支持基盤として削減されていた)
    ・防衛予算 11年ぶりに増額(民主党の“外交敗北”批判ー備え強化)
    ・地方公務員給与を国家公務員並みに削減(7.8%)、自治労恐れず。
   ー国債抑制の小細工。
     ・「国債整理基金」の取り崩し。7兆円取り崩して借り換え債の発行抑制
     ・国債利払費の予算9.9兆円(前年度なみ)。想定金利を2.0から1.8%に下げ。
       ふつう物価上昇局面では長期金利は上昇。想定金利は上げるのが自然。
       国債発行額を少なく見せるための小細工。デフレ脱却戦略には矛盾。
                                      
  5)財政規律回復に疑義の危険
   ー2013予算:国債発行は税収以下
   ー表面上の見せかけ(gimmick)も
   ー実質は財政規律後退?
   ー財政規律後退と市場が受け止めると国債価格下落→金利上昇→債務危機
    の悪循環の危険

3. 成長戦略
  1)成長戦略は6月に策定
     ー「産業競争力会議」(1/23初会合)
    ・甘利経済財政再生相
     a)「産業再興プラン」:
       ー設備・研究開発投資を促す税制の優遇措置を含めた特区創設の検討
       ーエネルギー、環境、医療など成長分野の規制改革
     b)「国際展開戦略」:アジアなどの成長力の取り込みめざす
       ー中小企業の海外展開を後押しする基金創設の検討
       ー海外投資の成果を国内成長にむすびつける投資協定や租税協定の締結
     c)「新ターゲッティングポリシー」:新市場を戦略的に創出・育成
       ー高齢化や原発低減など社会構造変化をふまえ新市場拡大期待分野の育成
       ー新エネルギーシステム、再生医療促進、新素材開発など
      以上を6月までに策定。
    ー成長戦略の1丁目1番地は「規制改革」?
     竹中ペーパー(1/23の産業競争力会議)
      個別産業支援でなく「企業・産業に自由を」つまり”規制改革が主役”の流れ。
    ー規制改革会議のテーマ候補
     a) 雇用:民主党政権の規制強化を反転?解雇の金銭解決、日本版exemption  
     b) エネルギー・環境:発送電分離
     c)健康・医療:混合診療拡大、
      農業はなぜか「規制改革会議」で主要テーマに挙げられず。
 
  2)TPP問題。
   ー3/22午後、日米首脳会談、
     共同声明:TPP交渉参加に際し「すべての関税撤廃を前提とはしない」
   ー水面下調整と首脳会談決着
     外交団:”sensitivity(重要品目)が存在” まで妥協
     昼食会:”聖域なき関税撤廃”を前提としない日本の立場を首相力説
     大統領がそれでは共同声明に書き込もうと応じて決着。
   ーTPP参加に向けた調整:
     ・参加するかしないか判断の時期は、自民党「首相に一任」とりつけ
     ・3月上旬にも交渉参加表明か
     ・政府・与党:
       関税撤廃の例外品目の選定
       農業支援策の検討
 
  3)農業は成長産業(安倍総理)
    ・2/25「産業競争力会議」
     農業強化策の検討開始。
     ・首相「農業を成長分野と位置づけて産業として伸ばしたい」
     ・林芳正農相:農産物輸出倍増、農地のフル活用方針表明。

2013.3.8「安倍政権とこれからの日本」その1

l. はじめに  

ll. 安倍政権の誕生
1. 総選挙の結果と安倍政権の誕生
1)選挙結果は自民党の勝利ではなく民主党の大敗
   ー12/16に判明
   ー議席:自民:119→294、公明31と合わせ 325。ねじれでも採決可能。
       民主:230→56
       維新:54
   ー分析:自民党得票はそれほど伸びていない。
       自民:43% 25.6百万票(前回 38.6%)
       民主:22.8% 13.6百万票(前回 47.4%)
       比例配分議員数、自民 前回より1人増えただけ。
       自民党にも積極的に期待する根拠はない。
   ー”神妙”な船出
      恒例の赤いバラ付けも控え
      安倍氏「自民が積極的に選択されたわけではない。
      自民は変わらねばならない」
 
   ー読めない選挙民、読まない(理解しない)選挙民
     第三極台頭の意味が不明
     投票率 前回69%→今回59%
2)安倍自民党の人材力
   ー残存中堅と119人の新人(小泉チルドレンは83人だった)
    119人の新人を石波幹事長はまとめられるか、そだてられるか。
3)ハードルは参院選
   ー参院の票読み
            総数   2013.7改選  2016.7改選
          自民   84    36     48
          公明   19    10      9
              (103)  (46)   (57)
          民主   87     45      42
          みんな  12     2      10
            ・・・・・・・・・・・ 
          合計 236    116    120           
          欠員  6     5      1
          定員 242    121    121
 
       ー過半数まで16議席足りない
       ーみんな11+国民新党3+新党改革2=16
       ・参院民主:植松恵美子(香川)、川崎稔(佐賀)2氏が離党届。
   ー自民の戦略 
      各都道府県で1議席獲得戦略で48議席、比例で10。合わせて58.
        31ひとり区で全勝、16の複数区(東京で2、その他1人ずつ)
       公明は10予想。合わせて68。参院計 68+57=125>122。
       複数区で2人立てるのは東京だけ。千葉は3人区だが1人?
       3/17の党大会までに全候補決めたい。
   ー民主党、やや出遅れ、しかし大物落選議員の参院区から立候補は
     あなどれない。
   ー安倍氏のリベンジは参院選(麻生氏のリベンジは衆院選)
     安倍第一次政権は、2007の参院選前に、年金記録漏れや閣僚不祥事
     などがつづき、選挙結果は、改選数64から37へと27議席も失った。  
 
    ・参院選までは安倍色封じ
    ・第三極への気遣い
      安倍首相 1/11 大阪まで橋下市長訪ー薄氷の国会運営
      実は参院選挙協力打診、模索?
       自民党総裁選前には安倍氏は「維新」との協力、連立も視野。
    ー緊急経済対策が象徴
      2月26日、参議院で可決し補正予算案成立 117vs116票の薄氷の僅差
      民主、みんなは反対、維新、民主離脱議員など賛成
 
2. 市場の反応
1)株高、円安とその背景
   ー株の急騰
      2ヶ月で30%
   ー円安、2ヶ月で20%
      世界が刮目
   ー「限りない金融緩和」のメッセージ
      日銀政策の転換への期待
      円供給急増の期待
2)御祝儀相場と若干の効果
     ・衆議院解散の11.16
       James O'neal,  Goldman-Sachs Asset Management 会長
        レポート配信 ”We Want Abe"
   ーキャピタルゲイン、輸出収益増大、投資(生産投資、不動産投資REIT)
                消費刺激効果も
   ー産業界に明るさ
3)外人投資家の注目点
   ー株価急騰で大きな利得
   ー売り抜けるか、投資継続するか、
      これから実質的成長の展望見えるか
 
3. 政権の人脈とたてつけ
1)身近な人びとと側近人脈
   ー安倍内閣(第二次)の誕生:2012/12/26:
    安倍首相(58歳)
    首相指名:返り咲きは吉田茂氏以来戦後2度目
 
   ー命運握る4人組?
   ・要は菅義偉(よしひで)
     菅の忠告:12月半ば、自民、公明で300議席超が見えた頃、
     「参院選、公明党協力不可欠、維新、みんなとは政策ごとの部分連合」
      維新と組んで憲法改正打ち出すことも選挙戦中は模索、
      参院選後まであずけ
      参院選までは自公体制で安全運転。
 
    ・菅:安倍の信頼絶大
       秋田県農家生まれ、高校卒後、集団就職で上京、働きながら法政大学
       卒業、故小此木通産相の秘書から横浜市議、1996年47歳で初当選の
      「苦労人」
       2006年、総裁選、「再チャレンジ支援議員連盟」94人組織、
       安倍勝利に。
       4回当選で総務相に。ふるさと納税、地方分権改革推進法、
       お友達内閣で剛腕。
       今回、8月時点で迷っていた安倍に主戦論となえて出馬へ。“盟友格”
     ・森嘉朗など長老は疑念
      ・旧小渕派から、派閥離脱、梶山静六、加藤紘一、古賀誠、そして安倍
       の傍らに
      ・09年の自民党下野選挙。首相麻生太郎に解散先送りを進言しつづけた
       当時の選対副委員長
   ・衛藤晟一(さらなる盟友)首相補佐官
      大分大学時代、右派の学生運動家として全国に名をはせた
      25歳で大分市議、県議2期、1990年衆議院議員初当選、
       安倍晋太郎の全面支援で大量当選の一人
       晋太郎が病で倒れ、「晋太郎の夢を晋三に果たさせる」悲願
       伊藤哲夫「日本政策研究センター」代表(学生運動の同志)
       を若き安倍に紹介。伊藤は今や安倍の最有力ブレーン
      ・衛藤は保守政治家、安倍晋三の”生みの親”
      ・安倍政権の工程表とりまとめた(中西輝政京大教授、八木秀次高崎
       経済大教授らと)
       ・国防軍創設を柱とする憲法改正工程
       ・限定的集団的自衛権行使容認(米国狙う弾道ミサイル迎撃など)
       ・例外設けたTPP参加
       ・先覚列島への公務員常駐
       ・河野談話」の事実上の撤回
       ・拉致問題の解決
      12/8 圧勝直後に工程表安倍に手渡し
   ・加藤勝信(官房副長官)
      加藤六月の女婿。(六月は晋太郎の最側近:塩川、森嘉朗、三塚と)
      加藤六月の睦子夫人(勝信の義母)は晋太郎の洋子夫人(安倍の母)
      と姉妹に近い関係。山中湖畔の別荘は隣組。家族ぐるみのつきあい。
      勝信:東大経済学部から大蔵省、主計局主査、
       衛藤の下で「創生日本」の事務局長就任、安倍の演説草稿で手腕
      返り咲きの安倍総裁下で総裁特別補佐。
       石破氏から「加藤を政調会長にして目玉人事を」と安倍の耳に入る
       ように言いふらし。明らかに甘利政調会長への妨害工作。
       安倍と不仲の一因。
    ・自民総裁選の直前、甲府演説から帰途、新宿のホテルに安倍が密かに
       呼び寄せたのがこの3人。ほかに甘利氏は安倍選対本部長として。
       この夜、安倍第二次内閣の陣容は固まってといえる。
    ・今井直哉(政務秘書官)も注目
      経産省キャリア、経団連の今井敬名誉会長の甥、辣腕
      安倍第一次内閣では事務秘書官、官邸のラスプーチンにも?
  ー内閣官房参与(官邸御意見番 ”7人衆”)
   ・浜田宏一(エール大名誉教授):国債金融、金融緩和、日銀法改正となえる
   ・本田悦朗(静岡県立大教授):国債金融、 大胆な金融緩和となえる
   ・丹呉泰健(元財務次官、読売顧問)、財政経済・社会保障、消費税実務
   ・藤井聡(京大院教授)防災・減災、国土強靭化計画提唱。
   ・谷内正太郎(元外務次官) 外交政策立案
   ・宗像紀夫(元名古屋高検検事長)検察、警察のたてなおし
   ・飯島勲(元小泉首相秘書官) 特命
2)助言者とリフレーショニスト達
   ーリフレーショニスト人脈
      ・1/15: 金融専門家会合7人
        金融政策や日銀人事で意見を聞く
         浜田宏一エール大名誉教授
         本田悦郎 静岡県立大教授
         岩田規久男 学習院大教授
         中原伸之 元日銀審議委員
         伊藤元重 東大教授
         竹森俊平 慶應大教授
       デフレ脱却には大胆な金融緩和が必要、で一致
3)内閣
  ー民主党との”人材力”の差を見せつける。合わせて挙党体制、総主流派体制。
  ーベテラン議員の重用
   ・閣僚(党首経験者など・・)
    麻生太郎:元首相(盟友:副総理+財務相):”積極財政論者”
     (組閣前から閣僚の約束手形を切る?切らせる?ほどの仲)
    谷垣禎一:前総裁(法務相)
    太田昭宏:前公明党代表
   ・甘利明 経済再生相(安倍、麻生氏の信頼厚い)
   ・総裁選競争相手を閣僚、しかし難所に
     林芳正:農水:TPP(参加決めても決めなくても批判の的)
     石原伸晃:環境相・原子力防災担当
  ーお友達内閣の批判意識?
   しかし実際にはお友達
   ・菅、甘利氏は第一次安倍内閣の主要仲間
   ・官房副長官:
     加藤勝信(衆院)
     世耕弘成(参院)
      両氏は9月の総裁選で安倍氏を支えた。政策通。
    事務副長官:
     杉田和博(小泉時代:安倍氏が内閣副長官時の危機管理監)
4)党と政権
  ー党執行部
  ・石破氏:幹事長に。
    石破氏との確執
    ・石破氏と安倍氏の面会は政権発足後、1月末までに数回のみ。
      麻生氏や甘利氏とは1〜20回以上も。
      一触即発? ”鉄のように冷たい関係”
    ・政権発足に当たって石破はほとんど相談に預からず、日々の日程はほとん
     どTV出演。
      石破は党の”広告塔?” 司令塔ではない?
    ・石破を上下から挟み込むように、
      副総裁:高村正彦(安倍と同じ山口県出身)
      幹事長代行:細田博之(かつて同じ派閥、元幹事長)
    ・石破は無派閥で党内基盤がない。安倍は敢えて石破の動きを封ずる
     意図か?      
    ・長老の不評も:石破の幹事長起用:自民党を離党した経歴。脱派閥を
     掲げる。
  ・派閥再興か?
    ・安倍派再興か? 病気療養中の町村に代えて細田に町村派を束ねてもら
     う。
    ・山崎派は元オーナー山崎拓が退き、石原伸晃が会長に。
      今次選挙福岡候補者擁立で山崎+古賀連合が麻生とはげしく対立
       古賀は宏池会代表を岸田文雄にゆずっている。
 
  ・女性の登用目玉:
   ・野田聖子:総務会長、 
                 二階俊博 総務会長代行(お目付)
                金子原二郎 総務会長代理
   ・高市早苗:政調会長、 
      政調会長代理:塩崎恭久、棚橋泰文、橋下聖子、宮澤洋一      
5)経済戦略と政策の執行体制
  ー経済再生本部(安倍総理が本部長)
    ミクロの経済政策の司令塔
   ー産業競争力会議(甘利経済財政再生相)
     岡素之(住友商事相談役)、竹中平蔵(慶大)、長谷川閑史(武田薬品
     社長)、三木谷浩史(楽天社長)、新浪剛史(ローソン社長)ら10人。
   ー「規制改革会議」(岡素之:住友商事相談役)
      規制官庁・業界・族議員の三位一体となった既得権の岩盤を崩し、
      市場解放・競争促進、新サービスと市場の創出めざす
  ー経済財政諮問会議
    マクロ経済政策を統括
    中長期の財政運営の目標や予算編成の基本方針描く。
    ・議長:安倍晋三首相
     民間議員:小林喜光(三菱ケミカルH)
          佐々木則夫(東芝社長)
          伊藤元重(東大教授)
          高橋進(日本総合研究所理事長)
     官房長官、甘利明 経済財政相、財務相、総務相、経済産業相談、
     日銀総裁
  ー教育再生会議(安倍首相と下村博文文科相)
  ー社会保障制度国民会議(清家篤議長)
  6)安倍首相の健康問題
  ー潰瘍性大腸炎(退陣の原因)は新薬「アサコール」でコントロール?
   アサコールは特効薬ではない。完治はしていない。
   衆院選中 12人の党首のうち、風邪を惹いたのは安倍氏ひとり。
   疲労しやすい懸念。

「安倍政権とこれからの日本」(アウトライン)

先般(2月22日)のブログに、安倍政権とこれからの日本について、何回かに分けて私のエッセイを書くことを御案内しました。実は、私が主宰しております経営者の勉強会「島田塾」で3月12日にこのテーマでまとまった話をすることになっており、その講演のアウトラインと中味を逐次このブログで掲載させて戴こうと存じます。前回御案内申し上げた内容とほぼ同じことになりますので、まずここに講演のアウトラインを掲載させて戴きます。講演のメモはかなり詳細なものになっていますが、今後それを5回に分けて順次掲載させて戴きます。お時間のおありの時に御高覧賜われれば幸いです。また、講演の速記録は、数週間後に出来て来ると思いますので、出来ましたらそれを2〜3回に分けて掲載させて戴きます。どうぞ御期待下さい。

「安倍政権とこれからの日本」(2013.3.12島田塾講演/島田晴雄)
 
l. はじめに
 1)100回記念に寄せて
 2)目前の問題を先に
 3)歴史と哲学はまたの機会に
 
ll. 安倍政権の誕生
 1. 総選挙の結果と安倍政権の誕生
  1)選挙結果は自民党の勝利ではなく民主党の大敗
  2)安倍自民党の人材力
  3)ハードルは参院選
 2. 市場の反応
  1)株高、円安とその背景
  2)御祝儀相場と若干の効果
  3)外人投資家の注目点
 3. 政権の人脈とたてつけ
  1)身近な人びとと側近人脈
  2)助言者とリフレーショニスト達
  3)政策決定機構と人材
  4)党と政権
 
lll. ”アベノミクス”
 1. 金融
  1)長期デフレの原因論争
  2)背景:リーマンショック後の世界の金融戦略
  3)特異な日銀の慎重姿勢
  4)”無制限な金融緩和”の呼びかけと海外投資家の反応
  5)株価の急騰と為替レートの円安転換
 2. 財政
  1)積極財政路線
  2)緊急経済対策
  3)財政再建は後退?
  4)財政規律回復に疑義の危険
 3. 成長戦略
  1)成長戦略は6月に策定
  2)成長戦略の課題
  3)TPP問題
 
lV. 鍵握る成長戦略
 1. 成長なくして成功なし
  1)すべては成長戦略の成否にかかる
  2)成長の展望なければ投資家は撤退
  3)成長すれば財政再建の展望開ける
  4)成長が賃金・所得増、社会保障維持の基盤
 2. 成長戦略をめぐる議論
  1)政府の成長見通し
  2)民主党成長戦略の蹉跌
  3)自民党産業競争力会議の論点
 3. 産業政策か市場政策か
  1)産業政策(picking the winners)は有効か?
  2)民間活力と民間の知恵を活かす競争政策
  3)政府の役割は市場・競争環境整備
  4)市場競争環境の阻害構造を除去できるか
 4. 旧自民党の体質を超えられるか
  1)旧自民党政権時代の光と影
  2)旧自民党が蓄積した構造障碍
  3)利権とマフィアの構造
  4)旧体質を超えられるか?
 
V. 日本の中にある成長フロンティア
 1. 40年間進化していない日本システム
  1)世界の奇跡といわれた日本システムが進化を止めた
  2)内外環境の激変下で進化しない日本が停滞・衰退したのは当然
  3)自民党長期政権下の”既得権の集積(マフィア)”が進化をとめた?
  4)既得権構造を解体し機会を開放すれば大きく開く成長可能性
 2. エネルギー
  1)Impasseに陥った原発問題
  2)”安全神話(マフィアの欺瞞)”が諸悪の根源
  3)抜本的な安全策で原発活用を
  4)自然エネルギーの大きな可能性
  5)新しいエネルギー戦略は成長の柱
 3. 農業
  1)つくられた農業危機認識(マフィアの欺瞞)
  2)成長産業としての農業の大きな可能性
  3)高齢零細農家には”社会農業”の選択肢を
 4. 医療・介護
  1)日本医療の見事な歴史と現在の惨状
  2)統制主義医療の患弊(マフィアの既得権) 
  3)目前のさらなる壊滅的危機
  4)情報化、民営化、健康産業化で成長産業へ
 5. 子育て・教育
  1)女性の力を活用しない日本の社会
  2)硬直的な子育てインフラと社会通念
  3)戦後の発展戦略に貢献した日本型教育モデル
  4)時代おくれの教育と既得権集団
  5)犠牲になる次世代人材
 6. ビジネスモデル
  1)閉鎖的な意思決定機構
  2)資本の論理の機能しない資本市場
  3)時代おくれの産業構造
 7. 既得権から解放できるか
  1)既得権への挑戦を試みた民主党政権
  2)自民党利権体質を克服できるか
 
Vl. 展望と課題
 1. 良いシナリオ
  1)株高・円安のメリットと波及効果
  2)参議院選挙の自民党勝利
  3)成長展望がメリットを持続・拡大
  4)経済成長、財政再建、所得上昇、社会保障充実
 2. 悪いシナリオ
  1)成長展望不透明、株安、円安
  2)参院選後の混乱と不安定
  3)債務危機、インフレ、生活水準低下
 3. 教育改革こそ基本
  1)鍵にぎる成長戦略と成長展望
  2)不安定な政治は”学習期間”?
  3)”考えない教育”は政治を支えない
  4)画一教育が阻む次世代の人材力
  5)新しい教育戦略の樹立を

« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »