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太陽エネルギー革命のすすめ

原子力や化石エネルギーにかわる第三のエネルギー源として期待されているのが、太陽エネルギーにもとづく再生可能エネルギーである。

再生可能エネルギーは大別して6種類ある。水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス、潮力・波力などである。これまで私達が使ってきた石化燃料や原子力のもとになるウランなどは、有限な資源である。確認されている可採年数は石油が41年、石炭が150年、天然ガスが65年(シェールガスを入れると150年)、ウランが85年にすぎない。これに対し、太陽エネルギーは少なくとも今後150億年は消滅しないと推計されている。言い換えれば、太陽エネルギーは私達が考えられる限り無限のエネルギーなので、それをもとに派生する上記の6つのエネルギー源が再生可能エネルギーと言われる所以である。

ところが、原発マフィアたちは、再生エネルギーは単位費用が高過ぎるし、実際に使えるようになるまで何十年もかかるので、現実的な選択肢ではないと言い続けてきた。その主張もまた、原発を推進したいあまりのマフィアたちの偏った主張である。彼らがしばしば言及するコスト比較では、原子力はkw/Hあたり5〜6円であるのに対し、太陽光は49円、風力は10〜14円、水力は8〜13円、火力7〜8円(『エネルギー白書2010年』)とされる。

日本の54基(うち福島の4基は廃炉)の原発の大半は30ないし40年と古く、原価償却期間を過ぎているので、当然運転コストは現時点でみれば、ほとんどタダのように安いはずだ。しかし、建設費や事故処理費や賠償費や使用済み核燃料の処理費などを考慮に入れれば、少なくともこの5〜6倍にはなる。一方、太陽光は発電設備に費用がかかるが、運転費そのものは原則ゼロである。すなわち、マフィアのコスト比較とは、何を比較しているのかが初めから明らかでないし、妥当でもない。2012年4月25日、経済産業省の有識者委員会が再生可能エネルギー電力買取り価格の基準を示したが、そこでは太陽光発電力は42円とされた。これは国際的にみると極めて高い。中国や欧州では、20円台になっている。太陽電池の発電装置は、いわば大型家電のようなもので、大量生産をすれば値段が下がる。また技術革新でも値段が下がる。現在の国際市場の傾向からみれば、日本でもほどなく適性な原価は20円前後になるだろう。そうなれば、設備費や事故対応なども考慮した原発の電力単価よりも太陽光電力は安くなる。しかももともと稼働率の高い風力や地熱はもっと安いのであるから、価格面からみて再生可能エネルギーは十分現実的な電力源というべきである。水力発電は日本の場合、大規模ダムが多く整備されているが、土砂が貯水池に溜まるなど投資効率が悪化しており、環境破壊も懸念されるので、これからの活用は小規模水力発電に限られるだろう。

諸外国では、これらの再生可能エネルギーの活用が急速に進んでいる。ドイツは太陽光発電などで総電力の35%(フランスからの電力輸入を割り引いても25%)、デンマークは風力で20%を賄い、2030年には50%を賄う予定。ニュージーランドは水力と地熱で2025年までに90%を賄うほど活用が進んでいる。

太陽光発電には、発電パネルなどで非常に広い地面(原発一基分の電力をつくるには、東京の山手線圏内約58km2をパネルで敷き詰めるなど)を必要とするので現実性がないと原子力マフィアは言う。ところが、日本には耕作放棄地が1010km2、使われていない工場団地169km2、ゴミ処分場46km2、河川172km2、鉄道127km2、海岸169km2の空いた空間があり、これらを太陽光発電に利用すれば、総出力は7600万〜9400万kw/Hを発電できる。これは原子炉で76ないし94基に相当する。ここで使われるソーラーパネルを地上10メートルないし20メートルの高架式でスノコ型のパネルにすれば、太陽光をあまり遮らずにその地面は農業や生活空間に十分使える。言い換えれば、空間利用の面でも再生可能エネルギーの現実性は極めて高いということだ。風力は、微震動が嫌われるが、海上にメガフロートを浮かべて風力発電機を浮かべれば解決する。火山国の日本は世界第三の地熱エネルギー国とされるが、国立公園では地熱発電所建設に対する反対が強い。この際、地熱発電所のないところは、国立公園とは認定しないとするくらいの発想の転換をしてはどうか。温泉旅館が困るというなら、発電所からあたたかい原湯を配給してはどうか。

以上のように、再生エネルギー発電の技術は既に十分実用化水準になっており、価格面でも空間利用の面でも十分に実現性がある。かつて日本は石油ショックの反省から、サンシャイン計画を唱え、再生可能エネルギー技術が大いに発展し、世界をリードした時期があった。その動きは原発マフィアの圧力にかき消され、今や再生可能エネルギー利用では日本は世界の後進国になってしまっている。しかし技術も条件も充分にある日本は、「太陽エネルギー電力立国」という目標を国民が共有し、正しく強い政治指導力があれば、その遅れを取り戻し、原発にも頼らず化石燃料にも頼らない未来志向の国としてその範を世界に示せるはずだ。

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