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私の新しい本について

このたび、私の新しい本を発刊することになった。原稿は5月の連休までに書き終え、今、出版社の編集者の手元にある。出版社は東洋経済新報社で、上梓はおそらく7月になるだろう。

新しい本のタイトルは出版社がつけることになっているが、本の内容をふまえると、私なりの仮のタイトルは「日本経済再生の要件」ということにしている。おそらく出版社はもうひとつ魅力的なタイトルを考えてくれるだろう。

本の趣旨は、日本経済がこの20年間ほど長期デフレに苦しみつつ衰退傾向をたどって来ていることは誰の目にも明らかと思われるが、かつて第二次大戦後の廃墟の中から不死鳥のように甦り、世界第二の経済大国と畏敬されるまでになった日本としては、近年の低迷と閉塞感は、あまりにも残念である。日本人なら誰もそう思うだろう。

野田政権の下で、政府は、財政規律の回復や成長戦略あるいは再生戦略などを掲げ、それなりの努力をしているが、とりわけ重要な成長戦略については、私見では、政府案では根本的な構造的疾患にメスが入っていないため、成長実現のための政策案が上滑りしているように見えてならない。本書では、成長戦略のためにはまず複雑な疾患が複合している日本経済の根本問題にメスを入れ、そこから適切な処方箋を描くことを意図している。その意味で、”再生の要件(prerequisite for recovery)なのである。本質的な構造問題にメスを入れていない、という意味で、本書は、現在の政府の取り組みにかなり批判的な見解を展開している。

今朝(2012年5月14日)、東京のアークヒルズクラブで、興味ある朝食会が開かれた。「世界経済フォーラム」のGlobal Agenda Seminarと銘打たれた「特別朝食セミナー」である。その席には、今や、日本政府の経済政策運営全般を取り仕切る立場にある古川元久経済財政担当相、以前、小泉政権でその立場におられた竹中平蔵氏、前JAICA理事長の緒方貞子氏、船橋洋一氏、田中明彦氏、竹内弘高氏など錚々たる論客が参加をされていた。古川氏は日本が多くの問題を抱え世界史でも前例のない挑戦に直面しているとされたが、その後、日本の世界における位置づけと役割について、アメリカ(とくにHarvard大学など)では日本の資本主義をwise capitalismとして期待する面があり、また日本の国際貢献も多様に展開しており、日本への新たな関心が高まる兆しが見えるという観察がいくつも提示された。

日本国内では、日本について悲観論や批判の声が高いが、日本の外ではむしろ日本に期待する声が高いという指摘は新鮮で面白い対照である。このセミナーの後に、知日派の旧知のアメリカ人(経営学者)とざっくばらんな会話をする機会があった。彼はアメリカの多くの知識人がそうであるように、アメリカの近年の政治や経済運営には失望をとおりこして怒りを抑えられない心境のようだ。たしかに、リーマンショックではアメリカが営々として築いた資本主義経済の蓄積を瓦解させてしまったし、世界中で戦争を繰り返してその犠牲を国民に強いている。私がアメリカ市民としてアメリカへの愛国心をもっていたらおそらく度し難い怒りに燃えるだろう。

私の新著はその意味で、私の愛国の書でもある。日本人であるからこそ、日本の低迷と衰退、指導力と気概のなさに慨嘆せざるを得ないし、また、日本には再生の可能性と潜在能力が十分にあると考えるからこそ、いまのふがいない状況を看過できないのである。本書では、現在の日本をしっかり批判したうえで、日本再生のための要件を処方箋を詳しく提示している。

本書は、以下の、12章から成る。
 1. 激変する世界経済環境と日本
 2. 再生をめざす日本:政府の取り組み
 3. 日本の複合疾患:負の遺産
 4. 進化の止まった日本システム
 5. 生かし得た大震災の試練
 6. 国民に安心(年金)と希望(雇用機会)を
 7. 新たなエネルギー戦略
 8. 新時代の国際立国
 9. 戦略農業のすすめ
10. 医療を強力な成長産業に
11. 住宅産業の大きな可能性
12. 観光産業躍進のために

これから、このブログで、本書の要点を適宜紹介していきたいと思う。おつきあい戴ければ幸いである。

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コメント

先日は大変貴重なご講演をありがとうございました。
早速のプログのご案内ありがとうございます。
拝読させていただきました。

浅学非才なもので正しく読めていないのではと恐れるのですが、新しく始められた日本語のブログの方は「憂国」の思いに満ちた大変重量感のあるブログと感じました。7月発行のご著書は、ぜひ読まさせていただきたいと思っております。

先日幸運にも先生にご面識賜りましたが、先生のご見識に触れる機会はまだまだ少ないですので、ブログのような身近なメディアで先生のご発言を続けていただくことは大変貴重と思っております。ご多用な中、ブログの更新はお手間とは存じますが、これからも楽しみにしております。
また、機会がありましたらぜひ先生のお歌のほうも拝聴したいと願っております。

電力不足が警戒される中、季節は夏に向かってまいりますので、くれぐれもご自愛くださるようお祈り申し上げます。

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