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原発ゼロ問題にどう対処するか

2012年5月5日夜、日本で唯一稼働していた北海道の泊原発が検査のために停止をした。東日本大震災以前までは、日本の総電力供給の30%近くを原子力発電が担っていた。その原発が全て停止ということになると、今年の夏は深刻な電力不足に陥り、節電生活や停電の不便も避けられないだろう。電力制約のもとでますます多くの企業が生産活動を海外に移転するだろうし、フル稼働させる火力発電の原燃料コストは急騰するだろう。

実際、日本の化石燃料輸入額は、2000年代初頭には7兆円台だったのが、リーマンショック直前には24兆円になっていた。リーマンショック後の超円高で輸入額は3割ほど減ったが、それでも増え続けており、もしかつてのような円安なら今年の輸入額は30兆円にも上ることになる。深刻なエネルギー制約のもとで、生活の質は低下し、経済は収縮する恐れがある。

原発問題の諸悪の根源は、原発マフィア(電力企業、政府、その他の関係者)が喧伝してきた『安全神話』である。日本は、技術や管理が優れているので原発は安全だという刷り込みである。ところが福島第一原発事故を見て、人々はそれが許しがたい欺瞞であり虚構であることを嫌というほど思い知らされた。裏切られたと信じている国民の信頼を回復するにはどうすれば良いかが問われているのだ。

政府は大飯原発の再稼働を巡って、素人の政治家が2日間で安全基準を揃えた。ストレステストの結果が妥当と「安全委員会」が判断したからだという。ストレステストとは、現状の施設にショックや熱や圧力を加えた時にどれほど耐性があるかを調べるテストである。福島第一原発事故からも容易に想像されるように、巨大な津波が原発を襲った時に耐えられるか、というテストではない。しかも、原子力マフィアの一翼である「安全保安院」や「安全委員会」の見立てであって、専門能力を持った中立・公正な機関の判断ではない。

国民の理解と納得を得るには、少なくとも、
1)SAM(Severe Accident Management/深刻災害基準)の厳格な整備、
2)想定外の深刻な災害を想定した訓練、
3)電力会社内部ならびに関係機関の間の透明迅速な情報共有の体制、
4)津波の届かない高台もしくは高い防壁に守られた原発及び非常電源等の設置、
5)古く、劣化した原子炉を第三世代の最新式の原子炉で置き換える、
6)使用済みもしくはトラブった核燃料の中間処理と最終処理の展望を示す、
のような対応を明確に国民に示し、実行して見せることである。

電力会社に安全対策の行程表を提示させるといった安全基準で国民が安心するはずはない。国民の不信を解き、原発再稼働に賛成させるには、総理大臣の陣頭指揮のもとでの政府の強力なリーダーシップと実行力が問われているのである。

以上は日本経済にとって必須の原発再稼働のための条件である。しかし、原子力は「悪魔の火」とも言うべき本来危険きわまりないエネルギーである。できれば悪魔の火を使わないで済む社会を一日も早く実現すべきだ。高価な輸入石化エネルギーにも頼らない手段は、太陽エネルギーから来る再生可能エネルギーの活用である。これについては、また改めて述べたい。

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